結局、人間と愛である。登壇年齢が古希を超えた金南祚(キム・ナムジョ)詩人(写真)が発行した19回目の詩集には、愛が余すところなく滲んでいる。93歳で出した彼女の最後の詩集である。
今回盛り込まれた52本の詩は、彼女の人生の中で振り返ってみた愛の幸せを歌う。
愛はならず、
愛の告白、なおさらならずとし
長い年月を生きてきて
愛はなる、愛の告白は限りないという
この頃に至った(「愛、なる」より)
金南祚詩人は最後の詩集を、「夕焼け頃の歌」だと語りながら、愛についてこう感想を書いた。
「私たちは、人間同士が深く愛します。多くの間違を犯しながら、お互いが大変孤独であるという人間の原理に気づくこともあります。そして、結局人間はお互いに『美しい存在』という肯定と愛と寛容に至るのではないでしょうか」
愛と一緒に日常から得た暖かさは、彼女が忘れずに込めたかった気持ちである。毎日降り注ぐ太陽の光は豊かで、様々な木々は教えを与える。
金南祚詩人にとって、詩とは何だろうか。彼女は、「詩は、ある猛烈な嫉妬のようなものを持っていて、例えば詩人がある期間、別のことに打ち込んでから戻ってくると、詩は鉄門を閉じて、長い間開けてくれなかった」と告白する。「詩よ、生涯私に勝つばかりの誌よ」という感想を残しながらも、「私たちが一緒に会って、一緒に生きてきたことを心から幸運と栄光と感じる」という感謝の言葉も忘れなかった。
鄭盛澤 neone@donga.com