新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多人数利用施設が次々と閉鎖されて在宅勤務が増えた2月、韓国の大気汚染物質は目に見えて減少したことが確認された。汚染物質の排出が減り、大気の質が急速に回復する現象が、中国に次いで韓国国内でも確認されたのだ。
延世(ヨンセ)大学大気科学科の金雋(キム・ジュン)教授チームは、千里眼衛星第1号の海洋観測搭載体(GOCI)を通じて観測した2月の韓国のエアロゾル濃度のイメージを30日公開した。エアロゾルは、微細粒子状物質(PM2.5)など大気中に固体や液体の状態で漂う小さな粒子であり、濃度が高いほど汚染度も高い。
大気中にエアロゾルが少ないほど、観測イメージで青色が濃くなる。昨年2月の国内大気のイメージと比べれば、今年2月は青色がはるかに鮮明だった。韓国だけでなく、中国と西海(ソヘ)上のエアロゾルの濃度も減ったことが確認できる。実際国立環境科学院によると、今年2月の国内微細粒子状物質の平均濃度1立方メートルあたり24μgで、前年同期の平均濃度(33μg)より27%低い。
金教授チームは、欧州宇宙機関(ESA)の環境衛星(TROPOMI)が観測した地球の二酸化窒素(NO2)の濃度のうち、大邱(テグ)地域の濃度も分析した。赤で表示された二酸化窒素は昨年2月に比べれば、今年2月のほうがはるかに薄くなっている。金教授は、「主に自動車の排気ガスや工場から出る二酸化窒素の特徴は、あまり長距離移動ができないので、該当地域で発生する汚染度を正確に示している」とし、「大邱で排出する汚染物質が、昨年2月に比べて大幅に減ったという表示だ」と語った。
新型コロナによって交通量や工場排出汚染物質が減少したことで大気の質が改善された現象について、大気科学者たちは、「なぜ汚染物質の排出を減らすべきかを実証的に示している」と口をそろえる。張榮基(チャン・ヨンギ)水原(スウォン)大学環境エネルギー工学科教授は、「大邱の大気質の変化は、汚染物質の排出と大気中の濃度が共に急激に減少したケースだ」とし、「一度もやったことのなかった大気汚染の実験をして見たわけで、今後精密に分析しなければならない」と説明した。
3月の大気質データを分析しても、同様の結果が出る可能性が高い。3月(1~29日)の1立方メートルあたりの全国微細粒子状物質の濃度は21μgで、前年同期(37μg)に比べて40%以上減少した。環境部は、大気質の改善原因と関連して、新型コロナによって激減した交通量の影響に加え、季節管理制による事業所・発電所の排出低減の影響、特に雨が多く東風がたくさん吹いた去年の冬の気象の影響などを多角的に分析している。
カン・ウンジ記者 kej09@donga.com