韓米両国は、2014年に定例安保協議会(SCM)で、戦作権が返還されれば韓国軍が米軍を指揮する「未来司令部」(仮称)を創設することで合意し、関連作業を進めている。
未来司令部は現在、韓米連合司令部とほぼ同じ形態だが、韓国軍が司令官(大将)、米軍が副司令官(大将)をそれぞれ担うことになる。韓米連合軍司令部の場合、在韓米軍司令官(大将)が連合司令官を兼職して戦作権を行使する。連合司令部副司令官(大将)は韓国軍が務めている。
当初両国は、戦作権が返還されれば韓米連合軍司令部を解体し、それぞれ独自の司令部を構成する計画だった。しかし、有事の際の軍事的効率性と指揮関係の統一のために連合司令部の骨格を維持しつつ韓国軍が主導する新たな軍事指揮機構を設置する方向で方針を変えた。韓米連合軍司令部と組織および機能が同じ「単一司令部」を維持すれば、現在の対北作戦計画に明示された水準の米増援戦力の展開など強力な韓米連合戦闘力を発揮できるという点が考慮されたのだ。
軍関係者は、「戦作権返還後、未来司令部が創設されれば、米軍が史上初めて他国の軍隊の指揮を受けることになる」とし、「韓半島防衛の韓国化を掲げた現政権もこの合意を守るだろう」と強調した。
しかし、「米国第一主義」を掲げるトランプ政権とは考えが異なるかも知れないという観測が流れている。世界最強の米軍が韓国軍の指揮・命令を受ける状況をトランプ大統領が受け入れる可能性は低いということだ。軍消息筋は、「トランプ政権が、韓国軍が指揮する未来司令部の創設をオバマ前政権の政策の誤りと規定し、見直しを要請する可能性がある」と強調した。連合司令部を「看板」だけ変えて存続させる未来司令部は、韓半島防衛を韓国が主導する戦作権返還の趣旨とも合致しないという論理を展開する可能性があると、同消息筋は伝えた。
このため、トランプ政権が合意を覆して戦作権返還後に連合司令部を解体し、韓米両国が独自の司令部を設置することを要求するという見方が出ている。
軍関係者は、「米政府と議会でも、韓国軍の指揮を受ける未来司令部に対する否定的な気流がある」とし、「未来司令部の行方が駐留経費負担問題とからまった場合、韓米両国の尖鋭な争点に飛び火する素地が大きい」と指摘した。
尹相虎 ysh1005@donga.com