北朝鮮、イラン、リビアなどに核技術や関連部品を提供した疑いを受けてきたパキスタンに対する国際社会の調査は、今や一人に焦点が絞られた。
パキスタンの「核開発の父」と呼ばれるアブドル・カーン博士(69)が、疑惑の中心にいる。国際社会はカーン博士が「核拡散の主犯」だと確信している。
▲調査に拍車〓パキスタン政府は、カーン博士の核心側近であるイスラム・ウルハーク氏を逮捕し調査していると、米紙ファイナンシャル・タイムズが19日付で報じた。ウルハーク氏は、イランに核関連技術を流出した疑いで追及を受けている。
パキスタンは昨年12月に始まった調査への米国情報関係者の参加を許可した。政府レベルで核拡散をしなかったという点を認めさせるための措置だった。昨年12月、科学者6人と情報要員が調査を受け、カーン博士も数回に渡って尋問を受けたという。
AP通信は先週米国から購入した核爆発触発装置をパキスタンに密輸入しようとしたイスラエル国籍のアセル・カーニ(50)氏を逮捕したと伝えた。パキスタンが核兵器関連部品を密売してきた疑惑を究明する手がかりになると同通信は分析した。
▲核心人物〓米誌タイムの最新号は、パキスタンと米国政府が、核拡散の首謀としてカーン博士を挙げていると伝えた。カーン博士と側近たちが、カネやイスラムの大義のために、他国に核開発情報を提供したと結論づけている。
カーン博士は、遠心分離機を利用してウラン濃縮技術を完成させた欧州ウラン濃縮合同研究所(URENCO)で働いていた人物。76年の帰国の際、遠心分離機の図面を密かに持ち出し、研究所を建ててこの技術を国産化した。そしてパキスタンは、98年に核実験に成功した。
米情報当局は、カーン博士が幽霊会社と中間取引業者をつくり、核関連部品を調達したものと見ている。カーン博士は、平壌(ピョンヤン)を約10回、イランの原子力施設を数回訪れたという。
▲処罰は未知数〓パキスタンのムシャラフ大統領は17日、議会で「パキスタンは、核拡散を許さないという点を世界に確信させなければならない」と強調した。
しかしこのような発言にもかかわらず、カーン博士に対する調査がうやむやにされる可能性が大きいと見られる。国民的英雄であるカーン博士を逮捕した場合、イスラム極端主義者や軍部の動揺が憂慮されるためだ。
米国もテロとの戦いで協力を得るために、パキスタンが政府レベルで核拡散に介入しなかったと線を引く程度だ。
カーン博士は、「側近たちが、北朝鮮、イラン、リビアを行き来することを承認したが、彼らが秘密取り引きをしたかどうかは知らない」と話した。米国の意図は、カーン博士の対外活動を遮断して、これ以上の核技術の流出を阻止することだとタイム誌は伝えた。
異鎭 leej@donga.com