黄禹錫(ファン・ウソク)教授チームの研究に対するMBC放送『PD手帳』の問題提起が、波紋を広げている。MBCはこれまで、黄教授チームの研究成果の核心である幹細胞の信頼性に疑惑があるとし、国立科学捜査研究所などに検証を依頼した。この検証自体に問題があるという指摘が出るや、MBCは、黄教授チーム研究員たちの「重大証言」を6日に放送することを明らかにした。しかし、MBCが取材したという金ソンジョン研究員は、昨日放送されたYTNとのインタビューで、「黄教授の論文に問題があるという内容を言ったことはない」と反論した。逆に、『PD手帳』の信頼性が疑惑を生むことになった。
『PD手帳』が卵子提供をめぐる倫理疑惑を提起したことは、マスコミの社会的役割の範囲内であると見ることができる。しかし、MBCは取材の過程で、取材源に嘘や脅迫、恐喝をしたという事実が、研究員たちの肉声を通じて明かになりつつある。MBCは、「セルラインがにせ物と判明し、黄教授は拘束されるだろう」とし、「正直に話せば、研究員の進路に対してソリューション(解決策)を出す」と、懐柔までしたという。
その上、取材源に取材の意図を正確に明らかにせず、隠しカメラを動員するなど、MBCの放送綱領にも違反した。基本的な取材原則を破ったことはもとより、非倫理的な方法まで動員して、「事実」をつなぎ合せようとした理由と背景は何か。世界的な研究成果に対して、MBCが最終審判を下そうとする態度も、憂慮しなければならない。黄教授チームの倫理問題を提起してMBCに対する非難が殺到するや、社運をかけて、幹細胞が「にせ物」だと無理に追いやろうとするのではないか、という疑念さえ抱かせる。
黄教授チームの幹細胞研究は、世界の科学界が認めた成果である。『サイエンス』誌は、黄教授の研究成果に疑問を提起する証拠がないことを明確にした。もし、黄教授チーム研究に問題があるならば、それは科学界が検証することである。MBCが、自救策として繰り返し問題を提起し、結論まで下そうとすることは、正しい姿勢ではない。科学の発展にも役立ちはしない。今は、黄教授チームがより意味のある研究に取り組めるよう知恵を集めなければならない時である。