写真とは本来あるものの再現だ。つまり真を写すものだ。そのゆえに日本占領期には「写真結婚」というのもあった。ハワイのサトウキビ畑で出稼ぎで働いているコリアの青年は、お嫁さんをもらうため、船便で写真を送っていた。写真はうそをつかないため、移民1世のほとんどは写真を通して結ばれた。以前は、芸術写真や報道写真の価値についてもありのままの再現にウェートが置かれていた。加工しない事実性や記録性が高く評価され、そこから芸術性や歴史性を見出していたのだ。
◆今はもうアナログ時代ではなくなった。デジタルのイメージはコンピューターの操作さえ覚えれば、誰にでも簡単に変えられる。もはや変造や加工が例外ではなく、普遍的で必須的なものになっている。そのせいか、役所では書類の写真と実際の顔があまりにも違うことから、「本当の写真を貼り付けるように」と言って、受け付けてもらえないこともよくあるという。新入社員の面接でも書類の写真と実際の顔に大きなギャップがあり、まるで別人を見ているかのような気がすることもしばしばある。「真」を偽る「詐真」の時代になってしまったのだろうか。
◆インターネットで流行るパロディーが、このような現実を反映している。あるポータルサイトには「合成」というキーワードで登録しているネット上の同好会が274を数える。すでに合成写真はネットユーザーの文化コードになっている。これが野党代表の「ベッドシーン」の捏造や、男女国会議員の「ヌードシーン」の捏造、大統領に銃口を突きつけるパロディー写真へと「進歩」を重ね、政界を騒がせたこともある。合成パロディーは「表現の自由」という一線を超えて、肖像権や人権を侵害する問題を生み出しているのだ。
◆女性タレントの顔をポルノ女優のヌード写真に合成し、インターネットに流した人たちに懲役6ヵ月の実刑が言い渡された。タレント73人のヌード合成写真を242回にわたってアダルトサイトに配信したという。21世紀の巨大な潮流を予測した20年ほど前の一冊の本が、思い出される。その本では、未来はフィクション、ファッション、フィール(感覚)、フェミニニティー(女性性)の4Fの時代になると予言していた。合成写真の騒ぎにはこれらの4Fが当てはまるのではないか。罪と堕落を意味するフォール(fall)が加わったら、申し分ないほど完璧だっただろう。
金忠植(キム・チュンシク)論説委員 skim@donga.com