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幻影に惑わされた芸術家の魂

Posted June. 22, 2006 03:06,   

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先日、オーストリアの画家グスタフ・クリムト(1862〜1918)の代表作「アデーレ・ブロッホバウアーの肖像」(1907年)がピカソの「パイプを持つ少年」の落札記録を破り、絵画史上最高額の1億3500万ドル(約1300億ウォン)で売られた。クリムトは全世界で最も多く複製されている画家としても知られている。官能的な幻想をテーマにしているクリムトの絵は、時空を超えて理性の呪縛から逃れ本能にしがみつこうとする自由を表現し、多くの人々から愛されてきた。

今月29日に公開される「クリムト」は、2000年にクリムト死後100周年を記念して企画されたもので、クリムトの祖国、オーストリアが中心となって、ドイツ、フランス、英国のプロダクションと手を結び、3年あまりにわたって製作し、完成させた。「接吻」、「ユディト」、「ダナエ」など華麗で装飾的な作品を発表したクリムトの生涯と作品世界を、ありふれた伝記的な構成ではなく、まるでクリムトの意識の中に入ったかのように、記憶と幻影を織り交ぜ、クリムトの意識世界を凝視する視点で撮影された映画だ。

梅毒にむしばまれ、ボロボロになった体を病院のベッドに横たえたグスタフ・クリムト(ジョン・マルコヴィチ扮)。精神までおかしくなった彼は、死を前にして幻想と記憶の世界をさまよう。作品の舞台は世紀末の興奮と緊張が漂っていた19世紀末。ラウル・ルイズ監督は、クリムトの恋人たちを中心に、当時ウィーンで流行っていたアールヌーボー・スタイルの衣装や髪型などを見事に再現し、クリムトの作品のイメージをプロモーション・ビデオを彷彿させる様々な映像で披露する。ストーリー・テーリングの手法に馴染んでいる人には、退屈なのが玉に瑕。R−未定



angelhuh@donga.com