「現代(ヒョンデ)自動車のカレンダーは、1年が11ヵ月しかありません。ストライキが毎年起こり、1年中の1ヵ月は生産が中断されてきました。今年も同じです」。現代自動車幹部のAさんが23日、ため息混じりに打ち明けた話だ。
1987年に設立された現代自動車労組は、1994年を除いて、今年まで19年間ストをした。勤務日基準で累積したスト日数だけで325日だ。一年平均17日だ。休業日まで合わせれば、毎年3週ぐらいをストをしたことになる。今年も、先月26日からストに入り、25日で1ヵ月を満たした。
現代自動車経営陣は年初に、ストを前提に年間事業計画を立てるという話もある。それで、スト期間中の生産中断にもかかわらず、年間生産目標はいつも果たして来たというのだ。ということは、「年例ストライキ」さえ起こらなければ、もっと生産できたという意味でもある。スト開始から妥結まで、労使が交渉する過程もほとんど「予測可能な公式」になってしまった。
●現代車の「ストライキの法則」
現代自動車労使の初会見は4〜5月に始まる。
労組はまず、会社側が受け入れにくい基本給対比10%前後の賃上げ案を提示する。会社側も一応、労組要求の半分以下である3〜5%水準の賃上げ案を出す。労組は今年、基本給対比9.1%引上げ案を、会社側は4.4%引上げ案を提示した。その後、現代自動車労組は交渉序盤で決裂を宣言し、大体6月末や7月初め、ストに突入する。
ある労組組合員は、「毎年6月頃になれば、『いつからストをするんだろうか』と考えるようになるのが事実」と話した。
ストが始まれば、会社側は生産への支障と輸出中断による被害を強調する。一方、労組は会社側の被害額発表が「労組への圧力カード」だと批判する。
労組のある関係者は、今年のストによる損失額が1兆ウォンを超えたという会社側の発表に対し、「ストによる損失を予想し、あらかじめ備えておいては、弱音を言う」と主張した。
現代自動車労使はスト以後にも、交渉でなかなか譲歩せず頑張っては、労働界の懸案など特別な影響要因がなければ、大抵夏休みを控えて雰囲気を急反転させ妥結して来た。
ストが夏休み以後まで続けば、休暇費の未払いと長期ストによる疲労度増加などで、組合員の不満が高まるからだ。今年も、31日から始まる夏休みを控え、労使交渉が急に解決の方へ向かい始めたとの分析だ。
●図式化されたスト、増える被害
現代自動車労組の無理なストライキと会社側の頑張りは、現代自動車と起亜(キア)車が韓国自動車市場の75%を占める独寡占構造による「緩い緊張感」が相当部分作用しているという分析もある。そのうえ、民主労総の核心労組の一つである現代自動車労組のストライキが、労組全体の代理戦の様相を帯びることも、ストライキ定例化の主要原因となっている。
ある現代自動車労組関係者は、「現代自動車がストライキをしないで簡単に交渉してしまえば、事情の悪い他の企業の労使交渉に悪い影響を及ぼしかねない」と言った。
定例化した現代自動車ストライキの最大の被害者は、数千社に達する協力業者だ。
韓国自動車工業協同組合によれば、今回のストライキで、377社に達する現代自動車の第1次協力業者だけで6000億ウォン近くの被害を被った。
李ヨンソプ現代・起亜車協力会会長は、「ストライキに耐えることのできる協力業者は、規模が大きい一部に過ぎず、残りの零細な業者はなすすべが無く、被害をそのまま被るしかない」と話した。
一部消費者たちは、「ストライキが終わった後、無理に工場を稼動し急いで車を生産すれば、品質にも問題があるのではないか」と憂慮する。
外国投資者の不安も大きくなり、対外信頼度も下落しかねない。
蔚山(ウルサン)企業愛実践汎市民協議会関係者のAさんは、「労使は毎年、決まった手順でストライキと妥結を繰り返さずに、初めからお互い説得力のある協議案を出し、ストライキをしないで労社関係を解決していかなければならない」とアドバイスした。
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