●原作漫画家のホ・ヨンマン先生に励まされ力を得る
「私はもうやめました」
やってみようという記者の提案に、彼は一応尻込みした。しかし、花札を何枚かいじくっては秘法を公開し始めた。
「ベテランたちは先ず、領域表示からします。自分がほしい札を曲げ平たくなくし見抜くことができるように…」と言いながら、指の魔術を披露しようとしたが、花札を落としてしまった。「ここには毛布がないので」と笑う姿がちょっと図々しく見えた。
「本当に大変でした。賭博どころかゴーストップもしてみたことがなく、花札用語も全く知らず、手が小さくて普通の花札は手に合わなかったのです。映画を撮影した3カ月の間、本物のタチァから習いましたが、私は花札を持つこと自体から、何か不自然でした。」
そんな彼だが、賭博映画をすると自分から乗り出たという。『犯罪の再構成』を演出したチェ・ドンフン監督のファンという彼は、チェ監督がホ・ヨンマンの漫画『タチァ(最高の賭博士という意味)』を映画化するという話に、無条件で名乗りを上げた。
「最初は、『チョ・スンウ、キャスティングはミスだった』と言う話を聞いて、たいへん緊張もしました。しかし、ホ・ヨンマン先生から、『私の原作どおりにするつもりなら、映画は作らないで』と言われ、力を得ました。漫画の代わりにシナリオだけ握って、わがままで度胸のある独歩的な人物だけを考えました。」
●しっかり隠しておいた恋人を公開する気分
彼は、「映画『タチァ』は、賭博でなく人間の話」と語った。偶然、賭博をするようになったゴニは、お姉さんの離婚慰謝料まですって、家出をする。最高のタチァを夢見ていたある日、伝説のタチァ、ピョン・ギョンジャン(ペク・ユンシク)に出会い、彼から秘法を伝授される。お姉さんの慰謝料の5倍さえ儲ければ賭博から手を引くと言うが、彼は賭博の設計士であるチョンマダム(金ヘス)の魔性に魅せられ抜け出せず、もう一人の賭博士コ・グァンリョル(ユ・ヘジン)と賭博の中で義理を堅める。
カリスマあふれるチョ・スンウがカリスマ演技をしただけに、絶好調だったわけだ。「過去に唾でも吐いたか」と高校時代に「不良」だったかと聞くや否や、「唾吐いたことありません」ときっぱり言う。まるで記者の心中を知り尽くしているかのようだった。まだ20代半ばなのに。
「私が元々大人っぽいんです。早く30歳になりたくて大人のように行動しました。家に男は私一人だったので、自ら家長だと思ったし、お金も早く稼ぎたかったんです。でも、誰かがこう言いました。すべての男の精神年齢は14歳だと。ハハ。」
インタビューの最後に花札を整理しながら彼は、「映画封切りを控え、緊張もしていますし、期待もしています」と言った。長年の間しっかり隠しておいた恋人を公開するような感じだと説明した。しかし、すぐに、「負担になることもないから、後悔することもありません」と度胸あるように言う。彼の瞳から、ふっとゴニの瞳が見えたような気がした。
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