ブッシュ米大統領を困惑させたのは、イラク戦争だけではない。氷河が溶けた水の「襲撃」で故郷を離れる動物たちの物語で笑いと感動を与えたアニメーション『アイスエイジ2』も、ブッシュ大統領に大きな打撃を与えた。アニメーション史上興行第2位を記録したこの映画は、子供のいる平凡な米国家庭に地球温暖化の深刻さを悟らせた。石油財閥から後援を受け、京都議定書に署名を拒否したブッシュ大統領が非難の的になったのは当然だ。
◆今年は地球温暖化とエルニーニョ現象が重なったため、1998年の記録を破り気象観測史上最も熱い年になる、と英国気象庁が発表した。今年、世界の平均気温は、1990年から過去30年間の平均気温である14度より0.54度高いと予測される。米国防省も、今後20年内に、気候変化によって地球に災難が発生するとみられ、これはテロより深刻な安保脅威になるはずだという秘密報告書を作成した事実が明らかになった。
◆ちょうど、米国の有力な科学者団体である「懸念する科学者連合(UCS)」が、世界最大の石油会社「エクソンモービル」が1998〜05年、地球温暖化には科学的根拠がないという誤った世論を導くため、43の団体に1600万ドルを渡したと暴露した。ブッシュ大統領は地球温暖化問題が提起されるたびに、「(二酸化炭素が地球温暖化を起こすという)さらにたくさんの証拠が必要だ」と言ってきた。しかし、上がり続けている気温は、地球が熱くなっている事実を確かに示している。
◆科学者たちは今のような規模で二酸化炭素が排出された場合、21世紀内に、地球の気温が2〜6度上がると展望する。このような温度変化は、過去に恐竜絶滅の原因になったほど深刻なのだ。米航空宇宙局(NASA)も、「未来の地球は、私たちの知っている惑星と完全に違う惑星になるだろう」と警告したことがある。そのような点で、地球温暖化は環境問題ではない。産業界の構造調整が求められる経済問題であり、政治的決断が要求される政治イシューだ。「熱く」なりつつある地球を冷やすための世界人の行動が、切実に必要な時だ。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com