盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が昨年11月、ベトナムのハノイで開かれた韓日首脳会談で、安倍晋三首相に東海(トンヘ、日本名=日本海)を「平和の海」または「友誼の海」に名称を変更できるのではないかと提案したという。大統領府側は、論議が大きくなるや、昨日、「公式に提案したのではなく、韓日間の懸案を大局的次元で解決するためには、認識と発想の転換が必要だという意味で、比喩的に、そして非公式で言ったことだ」と説明した。だからと言って、問題の重大性に照らして、無責任で軽率だったという判断をせざるを得ない。
このような話が出るようになった過程からして納得がいかない。大統領府関係者は、「大統領が、(実務ラインと)協議し、それ以前にも、内部の非公開会議の時にそのような話をした。軽く論議されたことがある」と述べたが、この問題が、大統領府の参謀たちとの「軽い検討」だけで突然出せる事案だろうか。
東海は、世界地図の97%が「日本海」で表記しているが、事実上、日本の植民地支配期に名称を奪われた。そのため、名称変更の善悪を離れ、関連省庁および専門家グループと深度ある論議を経て、国民的共感をまず確保するのが正しい手順である。
日本が簡単にこれを受け入れるはずもない。この点が分からなかったのか。分かっていながら先に切り出したのなら、外交的想像力と戦略の不在を示すアマチュアリズムの極致である。重大な歴史性と象徴性を持つ東海表記問題を、まるで歴史の一内容を整理するように軽く認識していることを表したためだ。
突然の東海名称変更の提案は、これまで国際社会に対して東海表記のために努力してきた民間の努力に水を差し、1991年から東海表記を主張してきた韓国政府の公式立場にも反する。今後の対日交渉でも、日本に悪用される素地が大きい。
東海名称の変更はそれ自体重要だが、独島(トクト、日本名=竹島)領有権や東海の海底地名、排他的経済水域(EEZ)境界とも直・間接的に関係する問題でもある。韓日関係正常化に障害になるこのような懸案をただ放置しておくことはできないが、だからと言って即興的に接近してはいけない。時間がかかっても、実益はもとより歴史性と国民感情を考慮し、十分な論議を経て解決しなければならない。