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米シンクタンク「米国は単独行動主義を捨て、同盟重視に転じるべき」

米シンクタンク「米国は単独行動主義を捨て、同盟重視に転じるべき」

Posted November. 08, 2007 03:03,   

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9・11テロから6年間、テロとの戦いを続けてきた米国が手にしたのは栄光ではなく傷だけだった。イラク戦争や単独行動主義の対外政策により、国家イメージと影響力はかつてないほど失墜した。

米国の著名な専門家20人からなる「スマートパワー委員会」は、1年あまりの研究と討論を行い、米国の進むべき道を示す新しい国家戦略報告書をまとめた。同報告書の作成には、シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が大いに関わっている。

報告書の柱は、米国が低下した評価と地位、影響力を回復するためには、軍事力や経済力といった「ハードパワー」より、文化や価値、政策などの「ソフトパワー」に軸足を移し、戦略を見直す必要があるということだ。

●なぜスマートパワーなのか

テロとの戦いの開始とともに、米国は常に「有志同盟」を強調してきた。既存の国際機関や同盟とは別枠に、米国が望む戦争に参加する意志があるかどうか、という二者択一を迫った。

しかし、国際社会の急速な変化により、こうしたやり方は効果を上げられなくなっていた。インターネットなどの通信技術の進歩で相手国内の事情がリアルタイムでわかるようになり、戦争勃発への恐怖もかなり薄まった。

それに、戦争での勝利の意味も変わりつつある。かつては軍事力で占領すれば戦争は終結した。しかし、イラクの現状からもわかるように、単なる軍事的勝利だけでは問題の解決が難しい状況になっている。国境を越え、様々な組織が政情に影響を与えているためだ。

結局、テロとの戦いにこだわり、強圧的な力をアピールするよりも、同盟と外交を重視し、新しい戦略的環境の変化に対応しなければならないと、この報告書は注文する。

さらに、国境を越えた「見えない脅威(faceless threats)」であるエネルギーの確保、国際金融の不安定な動き、気候変動、感染症などの問題もハードパワーでは解決しきれない。

ところが米国は、京都議定書、国際刑事裁判所(ICC)など、国際社会が足並みをそろえようとする問題に背を向けてきた。

●スマートパワーの実行案は

報告書は、米国の指導力回復のためには、△同盟とのパートナーシップの強化、△途上国への援助拡大、△国家間の人的交流の拡大、△自由貿易の拡大による経済的統合、△エネルギー安保、気候変動と関連する技術革新の5つの分野で本腰を入れる必要があると強調する。

報告書には、国際政治・経済の中心がアジアに移りつつあることにも注目する必要があるという注文も盛り込まれた。アジア諸国において役に立つ「公共財(public goods)」を提供する役割を充実化することで、単にテロだけではなく、広範な範囲で国際社会の協力を引き出すよう努めてほしい、という注文だ。

そのための第一歩は、米政府への信頼回復だとし、ハードパワーとソフトパワーの調和に向けた具体的なスマートパワーの実行案も示した。△ホワイトハウスの安全保障補佐官と予算室長を補佐する副室長ポストの新設、△政府内の調停役となる行政長官(executive secretary)の新設、△途上国への援助を担当する長官級ポストの新設、△4年ごとにスマートパワー報告書を作成、△民間機構の育成支援などだ。



spear@donga.com