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[オピニオン]北極グマの「真実」

Posted November. 14, 2007 08:15,   

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絶滅した動物のうち、もっとも有名な種は、ドードー鳥だ。1598年、西欧列強が植民地開拓に余念がなかった時代、ポルトガルの船員たちはインド洋のモーリシャス島で、飛ぶこともできずよろよろ歩く奇妙な鳥を見た。その鳥はさりげなく人間に近づいた。船員たちは、その姿のおかしさから、「ドードー」(ポルトガル語でバカ)という名前をつけた。ドードー鳥は肉類を欲した船員たちに食べられ、卵は家畜に踏み潰されて1世紀で姿を消してしまった。

◆デイヴィッド・クォメンの著書「ドードーの歌」で有名になったドードー鳥は、人間による自然破壊のシンボルとして世界中にエコロジーブームを巻き起こした。モーリシャスはドードー鳥の記念切手を発売したこともある。ドードー鳥のように、21世紀にはホッキョクグマが、環境に対する人間の罪の意識と不安を喚起する象徴として登場した。アル・ゴア元米副大統領が作ったドミュメンタリー映画「不都合な真実」には、地球温暖化で氷河が溶けてホッキョクグマが溺死するアニメーションシーンが出てくる。

◆しかし、ホッキョクグマ絶滅の懸念は杞憂に近い。英国の「ザ・タイムス」インターネット版は、「ホッキョクグマの個体数は増えており、環境団体はこのような事実に困惑している」と報道した。1950年代に5000匹だったホッキョクグマは、現在2万5000匹で、約50年で5倍に増加した。えさに窮したホッキョクグマが民家に近寄る姿もひんぱんに目撃されている。ホッキョクグマの個体数が増えたことを受け、ロシアは1973年、「ホッキョクグマ保護協定」の締結後禁止してきたホッキョクグマ狩りを許容する方針だそうだ。

◆ドードー鳥のように、ホッキョクグマも、人間に自然への幻想を与えるのに格好の動物だ。子どもたちに愛される白い熊が地球温暖化のためにもうすぐ絶滅するなんて、胸の痛む話だ。環境論者らがホッキョクグマを環境災害のシンボルに選んだ理由はわかる。しかし、危機に対する警告も、事実に基づいていなければならない。デンマークの統計学者ビウェルン・ロンボールが著書「懐疑的環境主義者」で、一部の環境論者が環境危機を誇張して金もうけをしていると批判した通りである。温暖化は事実であるが、すべての弊害を温暖化のせいにしてはならない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com