大統領就任式が行なわれた２５日、ソウル汝矣島（ヨウィド）の国会議事堂前は、数百人の市民でいっぱいになった。就任式には招かれなかったが、遠くからでも就任式を見るためだ。
職業や年齢は様々だが、彼らは、新大統領が経済を活性化させ雇用を増やし国民を楽にさせて、成功した大統領として大統領府を去ることを、一様に望んでいる。
●「国民の和合に力を入れてほしい」
韓国戦争で銃傷を負った国家有功者のチョ・ジョンヨンさん（８３、京畿道安山市）は、「就任式を見ようと息子の家で一晩泊った。李明博（イ・ミョンバク）大統領が韓国政治を新しく変えることを期待する」と力をこめて話した。
チョさんは、少しでも就任式をよく見ようと、花壇の上に立って場所を確保した。
済州道（チェジュド）の水精寺（スジョンサ）のトサン僧侶（６２）は、「新大統領が、学縁、地縁、宗教を越えた国民の和合に力を入れてほしい」と話した。
ソン・サンチョルさん（３５、アニメーション製作）は、「新政府は、政治志向から脱して文化などの多様な領域にも関心を傾けてほしい」と語った。
韓国の大統領就任式を好奇の目で観察する外国人も目についた。
高麗（コリョ）大学国際大学院に留学する米国人のトーマス・カーターマインさん（２５、韓国学修士課程）は、「韓国の大統領就任式は、舞と歌のある楽しいパーティーのようなムードで、厳粛な米国の大統領就任式とは全く違う」と興味を示した。
英国のアンソニー・パーカーさん（４３、経営コンサルタント）は、「英国では、首相が国民と平等な位置にいなければならないという理由で、就任式が簡素だ。韓国の大統領は、英国の首相より相対的に権威的なようだ」と話した。
●一部デモ隊は市民ともみあい
群衆が集まったことで、宣伝効果を狙ったデモ隊が、就任式会場の周辺に集まった。
全国民主労働組合総連盟の組合員約１００人は２５日、国会正門前で、「不正規職撤廃と構造調整阻止」という内容が書かれたピケットを持ってデモを行なった。
彼らが拡声器を使って歌を歌ってスローガンを叫ぶと、一部の市民たちは、「なぜこんないい日にここで騒ぐのか」と抗議した。デモ隊の一部は、市民や警察と軽いもみあいになった。
イーランド不正規職労組員の李キョンリョンさん（５４）は、「職場から追い出され、８ヵ月間苦しい闘いを続けている。新大統領が庶民の涙をぬぐうことに努力してほしい」と話した。
障害者の情報接近権の保障を掲げて、１人でデモをしていた金チョルファンさんは、取材陣が集まると、警察によって制止ラインの外に追い出された。
警察は就任式開始前に、国会正門前７０メートル地点から招待券のない市民の出入りを徹底して遮断した。セキュリティー検査台の近くまで行って就任式を見ようとした一部の市民は、警察が制止したため、抗議した。
●バスやタクシーの乗客も窓を開けて歓呼
李大統領が就任式会場の国会から大統領府に向かうと、市民たちは歓呼し祝いの心を伝えた。
国会前の道路を通っていた市民たちは、「李明博最高。万歳！」、「ＭＢ、愛してる！」と叫んだ。
ソウル麻浦区（マポク）の孔徳（コンドク）ロータリーで、大統領が通過するのを待っていたある市民は、「歴史的瞬間に参加できなかったが、車で通るのを見にきた」と話した。
麻浦から汝矣島方向に走っていたバスやタクシーの乗客は、窓を開けて大統領の行列に拍手を送った。
交通統制が２５分から３０分程続くと、配送会社の職員たちは歩道にバイクを止めて、「大統領が就任する喜ばしい瞬間だが、仕事はしなければならないんじゃないか」と冗談まじりの不満を述べた。
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