8年ぶりに政権を奪回した国民党の馬英九次期台湾総統の人気が上昇し続けている。馬氏の支持率は、今週の世論調査で86%まで跳ね上がった。馬氏は25日、サインを求める多くの支持者が自宅に群がりパニック状態になると「サイン中断」を宣言した。不祥事を憂慮した予防措置だった。周美青夫人の素朴な歩みも、高い人気に拍車をかけている。周夫人は国民の熱い視線のせいで勤務する銀行に迷惑がかかることを恐れ、辞職を検討しているという。
◆次期総統夫妻への台湾国民の愛は、格別のように見えて、すべて理由がある。日刊紙「連合報」の世論調査で、政権党(民進党)の敗因を問う質問に、回答者の49%が現職の陳水扁総統を挙げた。陳総統の無能と失政に嫌気がさした国民が新しいリーダーの出現を切に願ったのだ。地味な姿でバスを利用し会社に通う周夫人も、宝石とブランド品を好み「台湾のイメルダ」と呼ばれる陳総統の呉淑珍夫人とは対照的だ。尊敬に値する総統とファーストレディーを持つことになったというプライドが、台湾社会を加熱させているのだ。
◆馬氏は以前から、台湾を代表する人気政治家だった。氏は1998年に台北市長選挙に出馬し、連投をねらう当時の陳水扁市長に挑んだ。不利な環境だったが、国民党の要請で出馬し、勝利して全国的な有名人となった。1993年、法務部長(長官)在任時は、公職腐敗と不正選挙の撤廃に努めた。この夫妻の透徹した公僕精神も有名だ。休日は官用車を使わず、小型車を自ら運転する。
◆どの国でも民意は変わるものだ。フランスのニコラ・サルコジ大統領も就任初期には支持率70%に迫る人気を博したが、1年もたたないうちに支持率は半分になってしまった。馬氏の人気もどうなるか分からないが、普段の夫妻の生活パターンからして容易には落ちないだろう。国民党は、大韓民国臨時政府時代から、韓国とは良好な関係を築いてきた政党だ。国民党が良いリーダーを輩出し政権交替に成功したことを祝い、韓国と台湾の関係もさらに強固になることを期待する。
方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com