保健当局は15日、新型インフルエンザA(H1N1)の治療剤「タミフル」を服用したあと、10代がマンションから飛び降りた事故に関連し、「タミフルによる副作用の可能性は少ない」と発表した。
保健福祉家族部・インフルエンザ対策本部は、「タミフルによる副作用が疑われる事例として届けられた首都圏に住む李某君(14)に対する疫学調査や専門家による諮問会議を経た結果、李君はタミフルを1回服用しただけであり、タミフルにより異常行動が起きる可能性は非常に少ない」と明らかにした。
京畿道富川市(キョンギド・プチョンシ)に住む李君は先月29日、高熱症状のため周辺の病院からタミフルの処方を受けた。その翌日の30日、薬を服用した後床に入ったが、悪夢を見た後、マンション6階の窓の防虫網を取り外し、飛び降りた状態で見つかり、富川市の順天頲(スンチョンヒャン)大学病院で治療を受けている。李君は普段、病気を患ったことのない健康な10代で、30日の就寝前にタミフル1錠を抗生剤や抗ヒスタミン剤、消炎鎮痛剤と共に服用した。李君は精密検査の結果、脳や脊椎には異常がないことが判明しており、今も入院治療を受けている。
今回の飛び降り事件をきっかけに、タミフルを服用すれば、未成年者の場合、脳に変化を起こし、異常行動を誘発するのではないかという見方が出ている。
日本では07年、タミフルを服用した後、10代の少年が相次いで飛び降りる事故が起きた。日本は販売許可が降りた01年から07年にかけて、世界販売量の約70%の3500万人分が売られるほど、タミフルの最大消費国だった。しかし07年2月、タミフルを服用した後、飛び降り自殺をしたり、走るトラックに飛び込んで死亡する生徒の事例が相次いで報告され、未成年者を巡る副作用の懸念する声が増大し始めた。
厚生労働省は06〜07年、季節性インフルエンザの患者のうち、衝動的に飛び出したり、高層から飛び降りる「異常行動」を示した未成年者137人を対象に調査を行った結果、82人(60%)がタミフルを服用したことが分かった。
厚生省は今年6月も、17歳以下の若者1万人に対して調査を行った後、「(タミフルと異常行動との)関連性を証明することは難しいが、否定もできない」という理由で、例外的な場合を除き、17歳以下は服用を禁止するという原則を立てた。また、必ず服用しなければならない場合は、2日間、保護者が傍で見守ることを定めている。
飛び降り事件以降、日本ではタミフルへの不信が高まっている。日本厚生省の「抗ウイルス治療剤の備蓄計画」によると、今年9月から来年3月にかけて、タミフルは1200万人分、リレンザは1279万人分を供給する計画だ。絶対的な量だけ見れば、タミフルとリレンザは似ているが、供給の伸び率を見れば、その差ははっきりしている。政府は備蓄する量の場合、タミフルは昨年より2.6倍増となったが、リレンザは6.7倍へと跳ね上がった。
権逷郁(クォン・ジュンウク)伝染病管理課長は、「今回の事故を薬物による副作用とみなすためには、1日や二日以上、該当薬を服用しなければならないという専門家の意見があった」とし、「米国や日本でも似たような事例があったものの、相関性はないことが判明された」と説明した。その代わり、予防目的でタミフルを服用した10代の児童・生徒に対しては、「服用後、2日間は保護者による観察や注意」を勧めることにした。
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