最近、北朝鮮の食糧難が90年代中盤の「苦難の行軍」に次ぐ深刻な状況に達しているという。特に、国際社会の食糧支援中断で、軍人が最も大きな被害を受けていることが明らかになった。
消息筋によると、北朝鮮軍の食料事情は、昨年後半から急激に悪化したという。住民らは、国家の配給が事実上、途絶え久しいため、耐えることができ、それなりに持ちこたえているが、軍人は国家から供給がなければ、暮らすことができない。特に、国際社会の食糧支援中断が、軍に致命打になっているという。
ある北朝鮮事情に詳しい消息筋は、「昨年後半から、1食にトウモロコシ数十粒やジャガイモ1〜2個、それも1日2食だけ供給される部隊が多くなった。午後には、軍人を無条件に就寝させ、訓練や作業をできるだけさせない命令が、通達された状態だ」と伝えた。また、別の消息筋も、「軍に栄養失調患者が急増している。未婚の中隊政治指導員が自分の家に帰り、1ヵ月間栄養補給をするケースも目にした」と語った。
部隊ごとに体の弱い人を集め、集中治療する軍医所があるが、ここも物資不足で運営がほとんどされていない。ある消息筋は、「昨年秋、農場に軍用米を受け取りにいった軍部隊のうち、きちんと受け取ることができたところは、一昨年の60〜70%水準の確保にとどまった」と伝えた。さらに、同消息筋は、「国際社会の支援がなければ、軍ですぐにも餓死者が発生する状況であるにもかかわらず、国には食糧を買う外貨が枯渇している。外貨を使う国家機関も、今年受けた予算が、昨年の20〜30%だった」と付け加えた。
食糧を狙った殺人強盗も続発している。脱北者団体の「NK知識人連帯」は3日、金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日である先月16日、咸鏡北道富寧郡(ハムギョンプクト・プリョングン)の古茂山(コムサン)駅で、食糧を運ぶ列車を襲撃した労働者と護送隊員の間で、乱闘が起きたと伝えた。特に、護送隊員が撃った銃で仲間が死ぬと、労働者が作業道具を持ち、襲ってきたため、近隣の軍部隊まで出動して鎮圧したという。
対北朝鮮ラジオ放送の「開かれた北朝鮮放送」は2日、「住民が、労働党に対する信頼と忠誠を力説する人民班長に物を投げ、悪態をつくなど、腹いせするケースが数件発生している。以前には、ほとんど見られなかったことだ」と報じた。
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