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「ドン!ドン!ドン!」轟音とともに火災…「戦争が起こった」住民パニック

「ドン!ドン!ドン!」轟音とともに火災…「戦争が起こった」住民パニック

Posted November. 24, 2010 09:19,   

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「ドーン、ドーン、ドーン…」。23日午後2時43分頃、仁川甕津郡大延坪島(インチョン・オンジングン・デヨンピョンド)の渡し場から1キロメートルほど離れた、延坪面西部里(ソブリ)の自宅で、網の手入れをしていたチェ・ユルさん(53)は、突然、爆発音と共に地面が揺れる強い振動に驚き、家の外に飛び出した。慌てて道路に出て周囲を見渡すと、自宅からわずか30メートル離れた飲食店「チン・ミジョン」が砲弾を受けて半壊し、燃えていた。驚きを落ち着かせる間もなく、すぐに延坪面事務所の裏山にも、砲弾2、3発が落ち、真っ黒な煙が上がり、火の手が上がった。また、延坪派出所の横の路地に沿って造成された、住宅街が密集する南部里(ナムブリ)の住宅3、4ヵ所でも、轟音と共に砲弾が続けて爆発し、集落全体が火に包まれた。一瞬、「戦争が起きた」と思ったチェさんは、呆然と道路に座り込んでいた住民数十人を立ち上がらせ、大きな声で「砲弾が落ちた。早く家の外に出ろ」と怒鳴りつけた。チェさんは、「住宅や山に砲弾が同時に落ち、集落が一瞬にして混乱状態に陥った。どのようにして防空壕に避難したのかも覚えていない」と話した。

●無差別な砲撃にパニック

延坪島の住民は、記者の電話取材に対し、北朝鮮の砲撃で、住宅街や軍部隊の周辺で同時に砲弾が爆発し、火の手が上がるなど、戦場を彷彿させたと、緊迫した当時の状況を伝えた。イシモチ歴史館をはじめ、ヘソン旅館、林慶業(イム・ギョンオプ)将軍の祠堂や弾薬庫など、8つの建物が砲撃を受けた。船着き場では、砲撃に驚いた子どもが、「お父さん、早く来て」と泣き叫んだ。

チェさんは、「20分以上、約50発の砲弾が、集落や山に落ち、集落全体が大きく揺れた。住宅約10棟と山で火災が起こったが、消火作業よりも、家から出ることで精一杯だった」と話した。甕津農協延坪支店の金ソンテ支店長は、「事務所から50メートル離れた地点に砲弾が落ち、事務所の窓ガラスがすべて割れた。周囲が廃墟になるほど、状況は深刻だ」と憂慮した。

住民のソン・ポクスンさん(56・女)は、「家が揺れるほどの轟音が聞こえ、停電になり、戦争が起きたと思って、家の外に飛び出した。砲弾を受けて半壊し、火災が発生した住宅も多いので、ケガをしたり亡くなった住民が多いのではないか」と心配した。そして、「午後3時頃にも、砲弾約20発が落ちる音が聞こえた」と話した。海上警察の金ウンハン延坪派出所長は、「有線、無線の通信も途絶えた。集落の住民を安全な場所に避難させることに重点を置いたので、消火作業は優先されなかった」と述べた。

砲撃で、約10ヵ所で山火事が起き、火の手が上がった。しかし、消防車が出動できず、夜遅くまで消火が遅れた。また、一部の配電線が破損し、延坪島の924世帯中420世帯が停電となり、一部地域は暗闇の中で恐怖に震えた。

●緊急放送で避難

韓国軍から、非常事態の連絡を受けた延坪面事務所は、直ちに住民に「現在の位置から近い防空壕に避難せよ」という放送を流した。普段から避難訓練を受けてきた住民約1700人は、19の民間防衛避難施設や防空壕などに避難した。午後3時頃には、乗客約200人を乗せ、仁川沿岸の埠頭を出発した定期船が延坪島に到着したが、北朝鮮の攻撃を聞き、引き返した。

また、延坪の小・中・高校に通う生徒約120人は、砲弾の音が聞こえると、教室から出て、学校の裏山にある避難所に避難した。ハ・ジュン教頭は、「砲弾の爆発音と振動で、教室の窓ガラスのほとんどが割れた。生徒と教師にケガはなかったのが幸いだ」と話した。一方、海上警察は、午後3時頃から、西海(ソヘ・黄海)の延坪島と徳積島(トクチョクド)付近で操業していた漁船87隻を、南方に避難させ、午後1時頃、沿岸の埠頭を出発して大青島(テチョンド)に向かって運航していた定期船など2隻を、再び沿岸埠頭に引き返らせるなど、すべての定期船の運航を中止させた。

●電話が使えず、家族に焦燥感

北朝鮮の挑発で、延坪島内の固定電話だけでなく、携帯電話もつながらないため、延坪島の住民と陸地に住む親類は、家族や知人の安否を確認できず、気をもんだ。

甕津郡庁の金ウォンヨン建設災害課長(53)は、延坪島で、一人暮しの母親、朴ギュドンさん(74)の安否を確認するため、携帯電話にかけたがつながらず、不安を募らせている。自宅の電話も、砲撃のための停電でつながらない状態だった。金課長は、「母親と連絡が取れず、午後3時45分頃、延坪島の友人に電話をかけ、母親の安否を尋ねたが、友人も分からなかった。ケガなどしていないか、心配だ」と話した。

甕津郡は、延坪島に防犯カメラを3台設置しているが、北朝鮮の砲撃で2台が故障し、管制室ではカメラ1台に頼り、現地の状況を注視した。甕津郡関係者は、「有線、無線の通信が途絶え、延坪島の家族の安否を尋ねる電話が郡庁に集中した」と伝えた。

●白翎島の住民も緊急避難令

同日午後、白翎島(ペクリョンド)付近の北朝鮮軍の海岸砲基地も砲陣地を開放するなど、発射態勢が整ったという情報が伝えられ、白翎島の住民も、防空壕に緊急避難した。金ジョンソプ白翎面長(52)は、「ひとまず、高齢者と子どもから防空壕に避難させ、そのほかの住民も防空壕に避難するよう連絡し、ロウソクの灯りと暖房用品を供給した」と伝えた。午後4時には、大青島と小青島の住民にも、避難令が発令された。仁川市教育庁は、延坪島、白翎島など西海5島の小・中・高校に無期限の休校措置を下した。