延坪島(ヨンピョンド)砲撃後、段階的統一論による統一政策基調が変化している。李明博(イ・ミョンバク)大統領は最近、北朝鮮に対し、「歴史上、国民の変化に逆らえる権力はない」、「統一が近いと感じる」と述べた。金正日(キム・ジョンイル)個人支配の専制体制である北朝鮮内部で、変化の気流が感知されていることを示唆するとともに、このような反自由反民主独裁体制が、住民の基本権を保障する体制に変わることを希望する発言だ。
統一部は、来年度業務計画を「正しい統一準備」に焦点を合わせているという。北朝鮮の変化を消極的に待つよりも、北朝鮮の内部変化を積極的に誘導するという考えのようだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で編成された08年度統一部予算と来年度統一部予算は、内容において大きな違いがある。北朝鮮に関する情報収集や情勢分析予算は、約5億ウォンから約117億ウォンに1984%増加した。脱北者支援関連予算も、約603億ウォンから約1184億ウォンに96%増えた。統一部は、統一財源の調達と統一に備えた周辺国協力案も構想している。
北朝鮮の状況は、金正日総書記の健康不安と3代世襲や経済難に対する住民の反感で、穏やかではない。いつ訪れる分からない北朝鮮内部の急変事態に備えることは当然だ。特に、北朝鮮の核問題を抜本的に解決し、真の平和を成し遂げるには、積極的に統一を早める政策を追求する必要がある。朴世逸(パク・セイル)韓半島先進化財団理事長は、「分断状態の平和は真の平和ではなく偽装平和だ。統一は、韓半島の真の平和を保障し、韓半島全体が先進国に跳躍するための必要条件だ」と強調した。
いわゆる進歩陣営の一部でも、タブー視されていた「吸収統一」を最近、言及している。慶南(キョンナム)大学の金根植(キム・クンシ)教授(政治学)は、「韓半島の現実的統一案として、南北の力の優劣を反映し、韓国が北朝鮮を吸収統一する方法を考慮せざるをえない」と指摘した。90年のドイツ統一も、西ドイツの「力の優位」を背景にした東ドイツの吸収だった。
にもかかわらず、野党民主党の朴智元(パク・チウォン)院内代表は、「無理な北朝鮮の崩壊や吸収統一を論じてはならない」と主張した。「私たちの願いは統一」と口癖のように言っていた親北左派が、実は自由民主主義に則った早急な統一を望んでいないことが読み取れる。ならば、彼らが願っていた統一は、自由民主体制と専制世襲王朝体制をどのように結合する統一なのか。金日成(キム・イルソン)王朝への統一を望むのか。
太陽政策崇拝者らは、南北間交流と協力だけが最も理想的な統一案だと主張する。しかし、核兵器開発を強行し、同族に向かって公然と「核の災い」威嚇を繰り返し、改革開放と民主化を拒否する金正日集団に対する「協力優先」は、反人倫体制の存続だけを助ける罪悪になりかねない。太陽政策という名の「北朝鮮へのばらまき」で、金正日体制の強化を助けた勢力が、自分たちの誤りを認めるどころか、金正日—金正恩(キム・ジョンウン)世襲まで助けるなら、自由民主体制での統一は、さらに遠ざかるだろう。ドイツ統一の過程とその後を現場で目の当たりにした廉燉載(ヨム・ドンジェ)元駐ドイツ公使(現成均館大学国家戦略大学院長)は、「ドイツ統一は、交流協力による東方政策よりも、力の優位による西ドイツの積極的な統一政策が、決定的な要因となった」と、93年の金大中(キム・デジュン)政権時代にすでに述べていた。