米モバイル通信会社各社が、スマートフォンに内蔵されたソフトウェアで、ユーザーの携帯メールや電子メール、通話内訳、訪問したウェブサイト、閲覧した動画を隅々まで把握していたことが分かった。スマートフォンに敷かれているソフト「キャリアIQ」は、ユーザーが別途のプログラムを実行しなくても、自動的に作動し、キーパッドに打ち込まれるほぼ全ての情報を記録する。ジョージ・オーウェルの小説、『1984』に登場する「巨大な監視者」にほかならない。キャリアIQ社は、三星(サムスン)電子やHTCなどが製造した計1億4000万台に同プログラムが設置されたと明らかにした。
米通信会社各社は、通話品質向上を始め、技術開発のため、限られた内容の情報を収集しただけで、該当情報を流出させたことは無いと主張している。しかし、個人のプライバシー情報を無断で収集する行為は、明白な違法行為だ。電子商取引が増え、口座情報を打ち込む過程での情報流出の懸念もある。露出されたプライバシーが犯罪に悪用される可能性もある。司法当局は、スマートフォンさえ分析すれば、被疑者の全てのことを把握することができ、新しい科学捜査(デジタルフォレンジック)に積極的に活用しているのが現状だ。
国内通信会社各社は、米通信会社の要求で、輸出向けスマートフォンに、キャリアIQを設置したが、国内向けには設置しなかったと主張した。しかし、東亜(トンア)日報に取材の結果、三星電子のギャラクシーシリーズの「データ通信設定」や、「プログラムモニター」、「鏡」の3つのアプリ(応用プログラム)は、ユーザーの連絡先や位置情報、録音内容などに、アクセスできる権限を持っていることが分かった。その気さえあれば、個人情報を収集できるという意味だ。ユーザーにこの事実も通知しなかった。プログラムの開発者は、「開発の過程での単なるミスであり、実際、情報収集はしなかった」と釈明したが、後味が悪い。
米国では、すでに通信会社と携帯電話メーカーへの訴訟が起きている。告訴人らは、他の被害者らを考慮し、実際の損害額より一際多い損害賠償を科す膨大な規模の懲罰的賠償を請求した。国内でもプライバシー侵害と関連した大規模な訴訟事態がおきかねない。
スマートフォンは、国内ユーザーが2000万人を超え、生活必需品として定着した。保存空間が数十GB(ギガバイト)を超え、携帯向けパソコンとも言われている。関連メーカーは、スマートフォンがユーザーの一挙手一投足を監視したり、ハッキングの手段になる可能性を、根本的に食い止めなければならない。政府当局も、様々なアプリが、通信の自由やプライバシーの秘密を侵害するツールに使われることがにあよう、注意を払わなければならない。