エネルギー企業であるデソングループのある役員は、最近金英薫(キム・ヨンフン)会長から「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)会社を合併・買収できるか検討するように」と指示された。先月、スイス・ダボス・フォーラムに参加した金会長は、フォーラムのホットイシューだった「超連結性(hyper connection)」、つまり「世界の全てをリアルタイムでつなぐ」というキーワードにはまり、この概念を具現化したSNS会社に関心を持つようになったという。
デソングループの関係者は、「主力業種の国内都市ガス産業の成長が限界に達したことを受け、新たな成長エンジンを探すため、多様な試みをしている」と話した。
デソングループのように主力事業が限界に達した企業を中心に、M&Aを通じて新事業に乗り出す動きが活発だ。グローバルな経済危機で成長潜在力の高い企業が海外で売りに出されている上、韓国内でも大宇(テウ)造船海洋などの大手企業が売り物件として市場に出され、内外に大規模なM&A市場が形成された。
●経済危機が育てたM&A市場
最近、東遠(トンウォン)産業がスペインの最大手缶マグロ会社カルボサンスから持株買収を提案された他、国内の金融圏も海外の金融機関から自社の持株の買収を持ちかけられる提案を相次いで受けている。韓国内でも大宇造船海洋をはじめ、ハイマート、ウンジンコーウェイ、大宇エレクトロニクス、ウィニアマンドなどが売物に出されている。
M&A市場の需要者の企業が巨額の現金を保有しているのもM&Aの活性化を期待させる要因だ。ブルムバーグの資料によると、韓国全体の上場会社の資産対比現金の比重は2002年3.9%(250億ドル)から2010年には6.4%(1100億ドル)へと増えた。
資本市場研究院のパク・ヨンリン研究委員は、「米国や欧州などの中央銀行が低金利を維持していることから、国際金融市場で資金調達が相対的に容易になった上、国民年金が海外M&Aに積極的に乗り出すと発表したのも国民年金とコンソーシアムを作り海外の売物を買い入れようとする国内企業としては魅力的だ」と話した。
●融合のため、IT企業の買収にも関心
M&A専門家らは通信や建設、タバコなど、主力業種が限界に達したり、海運や造船のように外部市況に敏感な業種を持つ企業ほど、M&Aへの関心が高いと見ている。
最近、株式売却などで1兆5000億ウォン台の現金を確保したKCCと「規模の拡大」に乗り出した韓国石油公社のようなエネルギー公企業もM&A市場の「大手」に浮上するという展望が多い。
現代(ヒョンデ)経済研究院のペク・フンギ首席研究委員は、「事業の多角化や関連産業の拡張(垂直系列化)を狙う企業の他に、最近情報技術(IT)分野との融合を図ろうとする企業もM&A市場に飛び込んでいる」と分析した。
一部ではM&A市場が活気を帯びる環境は整えられているが、韓国企業はかつてのM&A失敗のトラウマ(心理的衝撃)によって簡単に買収に乗り出すことはないという見方もある。
ハンファグループは、大宇造船海洋の買収戦に飛び込んだが、金融市場が急激に冷え込んで追加資金を調達できなかったため大変な目に遭い、錦湖(クムホ)アシアナグループは大宇建設を買収した後財務構造が大きく悪化した。
漢陽(ハンヤン)大学のハン・ジョンファ経営学教授は、「三星(サムスン)も1990年末、米国のコンピューター企業のASTのM&Aに失敗した経験と労組を認めない雰囲気のため、企業を買収して新事業を探すのを憚る雰囲気は相変わらずだ」と話した。
mint4a@donga.com