京畿道金浦市(キョンギド・キムポシ)で8年間引越し車両を運転しているチャン某氏(50)。仕事を始めた05年、周辺の不動産市場が活気を帯び始め、1ヶ月間で400万ウォンは稼ぐことができた。08年、金浦コチョン・チャギ地区への入居の際も、金稼ぎは悪くなかった。
しかし、新都市への入居が始まった2011年、むしろ仕事が途絶えてしまった。複数の大規模な団地が次々と入居を開始したが、一部の賃貸マンションのほか、求めるところがなかった。入居せず、空室となっているマンションが数え切れない多いためだ。
新築マンションはもとより、従来の住宅でも引越しが鳴りを潜め、チャン氏は、小型トラックの1ヶ月間のガソリン代である100万ウォンすら払うのが難しくなった。高校生の息子は入試塾をやめて久しい。76平方メートルの住宅を担保に、銀行から融資を受けた金は5000万ウォン、マイナス通帳の借金も1200万ウォンへと膨らんでいる。年明けからの仕事はわずか1件。商売が成り立たず、廃業に追い込まれた飲食店の荷物を移してきた。
チャン氏は、「不動産景気が冷え切っており、われわれの庶民だけ苦しんでいる」とため息をついた。
●取引が鳴りを潜める…自営業者らも奈落に
住宅1戸が取引されれば、不動産屋や引越し、壁紙の張替えなどを営んでいる数十人の庶民に仕事ができるが、住宅売買が鳴りを潜め、このような構造はすでに崩れている。
昨年の住宅売買取引件数は、計73万5414件と、前年より25%以上減った。06年に関連統計を取りはじめて以来最低値だ。崔鍾璨(チェ・ジョンチャン)元建設交通部長官は、「住宅取引が途絶え、周辺の景気が全て無くなった」とし、「建設・不動産の不況は、雇用現象や家計消費の減少へとつながり、経済成長に大きな打撃を与えている」と懸念した。
真っ先にダメージを受けたのは、不動産屋や引越しセンター。昨年1〜10月の全国不動産業者1万3685件が廃業に追い込まれ、1292件が休業となった。約10万人が携わっている引越し業界も、昨年約40%が廃業に追い込まれた。
韓国包装引越し協会のパク・マンスク協会長は、「引越し業界は、その日の稼ぎで食いつないでいく人たちが多いが、彼らが職を失い、本当に奈落へと落ちている」と述べた。
家具や内装店を経営している自営業者も同じだ。ソウル麻浦区阿峴洞(マポグ・アヒョンドン)の家具通りで20年以上商売をしてきたイ某氏(52)も最近、廃業を決め、店舗の後片付けに取り掛かっている。3年前から従業員の給料やテナント料を払うのも難しくなった。
李氏は、「商売をすればするほど赤字を出しており、老後資金として貯めていた金さえ取り崩している」とし、「これから何をするかまだ決めておらず、廃業から先に進めている」と訴えた。
京畿道高陽市(コヤンシ)・一山(イルサン)新都市で内装店を営み、昨年、高陽市三松洞(サムソンドン)にひっこしてきたイ某氏(44)は、「入居自体が無く、新築マンションに入っても、内装を新たにする人などいない」と打ち明けた。
東亜(トンア)日報が引越し・内装・不動産業者に依頼し、この5年間で住宅の取引が減ったことを受け、無くなった関連業界従事者の年間所得について試算した結果、9200億ウォンに上った。
●「工事現場が無くなり、失業者が続出」
民間・公共工事の仕事が減り、セメント・生コン・建築材業への従事者や建築技能工らも、直撃を受けている。昨年8月以降、国内建設工事の受注額はひたすら下り坂を歩んでいる。
20年間、京畿道坡州市(パジュシ)で、生コン技師として働いているチョン某氏(54)は、昨年初めて月の収入が100万ウォンを下回った。一時、月に200回も建設現場を行き来したが、いまは、運がよければ1日1回、仕事に出向く。生コンの維持費だけでも月300万ウォンもかかり、すでに、クレジットカードの借金も1000万ウォンを使っている。
チョン氏は、「同僚の中には、仕事が無く、1年以上遊んでいる人たちが多い」とし、「溶接や宅配運転手に鞍替えしなければならないかもしれない」と話した。首都圏の建設現場が減り、地方に仕事を求めて離れる壁紙・左官・床の張替えなどの技能工らも増えている。
昨年まで、主要4河川事業などのインフラ(SOC)事業が、彼らにはある程度の下支えになったが、今年は、大規模な開発事業計画も無いのが現状。さらに、次期政権は福祉養蚕の調達に向け、SOC事業予算を減らしている。
専門家らは、底を支えている経済の崩壊を食い止めるためにも、不動産市場の軟着陸が急務だと指摘している。建設産業研究院のキム・ミンヒョン建設政策研究室長は、「福祉も結局は、庶民の雇用が保たれてこそ可能なことだ」とし、「雇用のためにも適切な建設投資は続けるべきだ」と主張した。
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