ロシアのプーチン大統領が18日、ウクライナのクリミア自治共和国をロシアに編入することを宣言し、米国、欧州連合(EU)対ロシアの関係が冷戦時代に回帰する様相を見せている。事態の展開によっては、1991年の旧ソ連解体後初めて、世界の主要国が「親露」か「反露」かの選択を迫られる可能性もある。国際秩序の地殻変動の中、国益を守るために冷静に状況を読み戦略的判断が必要だ。
第2次世界大戦後初めて、欧州で一国家が他国の領土を占領するという今回の事態は、ウクライナの国内法はもとより国際法にも明確に反する。ロシアの軍人が現地に進駐した中で行われた国民投票(96.7%が編入賛成)の結果を認める国家はロシアしかいない。ロシアが編入の名分で掲げた「自国民の保護」は、旧ソ連から独立したすべての国家に介入するための言い訳にすぎない。
プーチン大統領は、「強いロシア」を叫び、ガスや石油などの輸出の好調による経済成長を追い風に膨張主義路線を歩んできた。米国は消極的な介入で正面衝突を避けたが、今回の事態で米ロ関係の再確立が避けられなくなった。米国のオバマ大統領は24日、オランダ・ハーグで開かれる核安全保障サミットで、G8のうちロシアを除いた国家の首脳たちと緊急対策会議を開く。ロシアの政府高官の資産凍結や入国制限などに続き追加の制裁を話し合うものと見えるが、戦争を覚悟しない限り実効性のある解決策を見出すことは容易ではない。
韓国外交部は、「ロシアのクリミア編入を認めることはできない」と明らかにしたが、制裁への参加を悩んでいる。ロシアとの交流を増やそうとする朴槿恵(パク・クンヘ)政府の「ユーラシア・イニシアチブ」がダメージを受けるためだ。北朝鮮核問題の解決にもロシアの協力が必要だ。北朝鮮や中国も、ロシアのように自国の利益のために国際法を破ることが起こらないとも限らない。
韓国は、国益を慎重に判断しつつ、自由民主主義、市場経済、人権に対する価値を共有する同盟国と歩調を合わせるほかない。日本とは、歴史観をめぐって対立があるが、現在と未来の関係では共通の価値を共有している。ロシアは形式上、民主主義国家だが、実際にはツァーリのようなプーチン大統領の統治下にある。プーチン大統領の膨張主義を放置すれば、中央アジアからバルト海まで平和の基盤が動揺するだろう。政府は、同盟国である米国と緊密に協力し、日本とも対話のチャンネルを広げていく必要がある。来月には韓国が国連安全保障理事会の議長国になるため、外交力を発揮する空間がさらに広がるだろう。