憲法裁判所は、夜間デモを全面禁止した「集会およびデモに関する法律」(集示法)第10条の規定に対して限定違憲の決定を下した。この規定を午前0時前の夜間デモまで禁止すると解釈する場合、違憲に当たるということだ。憲法裁の裁判官が夜間デモがしばしば行われる光化門(クァンファムン)に一度でも行って判断したのか疑わしい決定だ。さらに、日没ではなく午前0時という新しい基準を定めたことで、国会の立法裁量を侵害した。
夜間デモ禁止規定は例外的に許可する理由はなく、基本権の侵害可の能性がある。2009年に憲法違反の決定が下された夜間屋外集会禁止規定には理由はあったが、夜間デモにはない。しかし、2010年から夜間屋外集会が許され、夜間にも集団的意志表示が可能だ。デモが必要というなら昼間にやればいい。デモによる体制転覆の脅威を経験した英国、フランス、ドイツなどの欧州先進国の警察は、原則的に日没後のデモだけでなく屋外集会も許可していない。
韓国では労働者や左派団体のデモのほとんどが秩序なく行われている。昼間に始まったデモが、夜間デモが禁止された今も夜間まで続くのが常だ。夜間まで続いたデモが平和的に終わったことはほとんどなかった。夜のデモでは、時間の特性上、参加者が興奮しやすく、暗い所では匿名に隠れた暴力が発生する恐れもある。憲法裁の裁判官が、デモでお馴染みのソウル光化門で市民がどのような苦痛を受けているのか一度体験したなら、今回のような決定はできなかっただろう。
夜間デモの新基準を夜10時までにするのか午前0時までにするのかは国会が決める事案だ。憲法裁の金昌鍾(キム・チャンジョン)裁判官ら3人は限定違憲ではなく単純違憲の決定を下し、立法の具体的な内容は国会の判断に任せなければならないという慎重な意見を提示したが、少数意見にとどまった。
午前0時までデモを許可する限定違憲決定が下された同規定は、国会の代替立法がなくてもすぐに効力を発揮する。大法院は、憲法裁の限定違憲決定の場合は法に根拠がないという理由で憲法裁の決定に従っていない。事実上、憲法裁が立法行為をしたも同然の今回の決定は、国民に混乱を与える。