25日、臨津閣(イムジンガク)と京畿道坡州(キョンギ・パジュ)一帯では、北朝鮮にビラを飛ばそうとする市民団体とこれを阻止しようとする進歩団体、地元住民との間で激しい衝突が起こった。「北朝鮮向けビラ送り国民連合」は同日、臨津閣でビラをつけた風船を北朝鮮に飛ばすことを予告した。この知らせを聞いて待機していた進歩団体と地元住民が阻止しようとし、双方の間で罵声が飛び交い、もみ合いとなった。結局、「北朝鮮向けビラ送り国民連合」が、金浦市(キンポシ)の山に場所を移してビラを飛ばすことで騒動は一段落したが、北朝鮮の思惑どおり、北朝鮮へのビラ飛ばしをめぐって韓国国内の対立が起こった。
市民団体が、北朝鮮住民に3代世襲政権の真実と自由世界の情報を伝えるためにビラを飛ばすことは意味がある。米ランド研究所のブルース・ベネット研究員は、北朝鮮へのビラが金正恩(キム・ジョンウン)政権にとってエボラ出血熱のような脅威だとし、「北朝鮮へのビラは(北朝鮮内で)政権に反対する考えを広めることができる」と評価した。北朝鮮が激しく反発するのも、ビラに書かれた真実がそれだけ北朝鮮にとって痛いところであることを物語る。
一方、北朝鮮が10日に北朝鮮へのビラに向かって撃った銃弾が京畿道漣川(ヨンチョン)地域に落ちて以降、国内の一部で憂慮が高まっている。総合編成チャネルMBNの世論調査によると、「北朝鮮へビラを飛ばすことを阻止すべきだ」という回答が62.9%で、「阻止してはならない」(24.6%)より倍以上多かった。ビラを飛ばすことは憲法上の表現の自由に属し、これを阻止する法的根拠はないにもかかわらず、このような結果が出たのは、北朝鮮の軍事威嚇に影響を受けたためと見える。
北朝鮮へのビラの純機能を生かし、国民が安全保障の不安や生存権の脅威を感じないよう方法を見直すべきだ。事前予告なく深夜に風船を飛ばしたり、南北関係のムードを見ながら時期を調整することが対案になり得る。自由北朝鮮運動連合のパク・サンハク代表は、公にビラを飛ばす理由について、「支援者を募るために必要だ」と明らかにした。このように反対世論が高まっては、支援者募集も難しくなるだろう。支援者に風船の効果を伝える別の方法を考えるべきだ。
静かにビラを北朝鮮に飛ばし、住民が多く暮らす地域に落とす技術を開発することが重要だ。北朝鮮に自由の情報を伝える活動を萎縮させてはならない。批判すべき対象は北朝鮮政権であって、閉じられた壁の隙間から外部情報を入れようと努力する民間団体ではない。