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授業料負担ゼロ化を推進する政府、借金をして中間層まで支援するのか

授業料負担ゼロ化を推進する政府、借金をして中間層まで支援するのか

Posted February. 14, 2024 08:44,   

Updated February. 14, 2024 08:44

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政府が、国家奨学金の支援対象を中間層に拡大する案を推進しているという。現在、全体大学生203万人のうち、所得下位の48%が受け取る国家奨学金を、所得下位80%まで拡大するという。2012年に導入された「授業料の5割下げ」政策を、「授業料負担ゼロ化」に拡大することが目標だという。中間層のための学資金の超低利での融資や大学生の住居費支援策も検討している。

青年たちが学費の心配なく、能力と意志によって大学教育を受けさせるという趣旨には多くの人々が共感するだろう。政府の高等教育や公教育費の支出規模が、他の先進国より小さいのも事実だ。問題は、そのような財政状態にあるかどうかだ。授業料負担ゼロ化に、追加で必要な予算が年間1兆5000億~3兆ウォンだという。韓国の国家債務はすでに1000兆ウォンを超えている上、少子高齢化で税収は減り、負債は急速に増えている。今も授業料5割下げ政策により、月所得の認定額が1000万ウォンを超える家庭の子供は、年間350万ウォンの国家奨学金を受ける。高卒者が納めた税金で、中間層の子どもの大学学費を支援するのは、果たして公正なのか。授業料負担ゼロ政策が、国が借金をしてでも強行しなければならないほど、急を要するもので重要なのか。

授業料負担ゼロ化が、労働市場と大学生態系に及ぼす影響も確かめなければならない。韓国の青年たちの大学教育履修率は70%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(47%)より高いが、大卒者の就職率と高卒者との賃金格差はOECD平均より低く小さい方だ。大卒者が必要以上に輩出されるため、大卒者の下方就職率が高まり、雇用と学歴間のミスマッチも深刻になっている。それ相応の値打ちのない大学卒業証書の取得のために失った機会費用まで加えれば、学歴過剰の社会的費用はさらに大きくなる。授業料負担ゼロ化で大学進学率が高くなれば、限界大学の構造調整が遅れ、大学生態系全体が崩壊の危険にさらされることになるだろう。

保守と進歩両方の選挙公約から出発した授業料5割下げ政策は、高学歴の失業者を量産し、大学に授業料凍結と奨学金拡大という自助努力を強要し、大学の競争力まで後退させた。ところが、政策の副作用を減らすどころか、選挙を控えて授業料ゼロ化で問題を大きくすることを考えるなんて、気の毒なことだ。大学の競争力を高め、教育機会を拡大するためには、大学に自律を保障して革新を奨励し、政府財政は貧しい学生たちに集中するのが正しい。