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「人間ゴミの掃除」、悪人処断の「ダークヒーロー」が正義を問う

「人間ゴミの掃除」、悪人処断の「ダークヒーロー」が正義を問う

Posted February. 27, 2024 08:38,   

Updated February. 27, 2024 08:38

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「人間ゴミを掃除しただけだ」(ネットフリックスドラマ「殺人者〇難感」)

「法には穴が開いている。これからは私がその穴を埋めます」(ディズニープラスのドラマ「ヴィジランテ」)

最近、善悪の境界で社会正義を問う「ダークヒーロー」のコンテンツが人気を集めている。既存のヒーロー物が善良な英雄中心に展開されるなら、暗い面を見せるダークヒーローは人間心理の立体的な姿を示すという評価だ。

9日、ネットフリックスに公開後、韓国やタイ、ベトナム、シンガポールなど10ヶ国で視聴数(Views・視聴時間を再生時間で割った数値)でトップとなった「殺人者〇難感」が代表的だ。この作品は主人公のイタン(チェ・ウシク)が、偶然の殺人から始まり「死んで当然な者」を処断する話を盛り込んでいる。イタンが善悪を行き来しながら悪党を殺害するシーンが、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を中心に議論を呼んでいる。社会的公憤を起こした犯罪者を、司法当局ではなく個人が直接処断することが果たして正当なのかについてだ。

昨年11月、ディズニープラスに公開後、韓国テレビショー部門でトップとなった「ヴィジランテ」も、ダークヒーローのコンテンツだ。主人公のキム・ジヨン(ナム・ジュヒョク)は、昼間は模範的な警察大学の学生だが、夜になると犯罪者たちを直接審判する。幼い頃、ジヨンの母親が目の前で暴行を受け命を無くしたが、犯人が心身微弱という理由で低い量刑を受けて出所したためだ。このドラマも、やはりSNSで悪人の中でも死んで当然な者をどのように定義できるのか、それに対する処罰は何が適当なのかを巡り議論を呼んだ。

ダークヒーローが脚光を浴びるのは、悪辣な犯罪者たちが割合軽い処罰を受けているという大衆心理が反映された結果だ。昨年2月に放送され、最高視聴率21%を記録したSBSのドラマ「模範タクシー2」のように、無念な被害者に代わる復讐劇が現実にもどかしさを感じる視聴者たちに代理満足を与えたという。

これと関連して、「殺人者〇難感」と「ヴィジランテ」をはじめ、昨年8月に放映され死刑制をめぐる議論を触発させたSBSのドラマ「国民死刑投票」も、全てウェブトゥーンが原作だ。読者のリアルタイムの反応に敏感なウェブトゥーンの原作が、犯行に比べて法的処罰が微弱だと考える大衆の公憤にきちんと触れたという見解もある。大衆文化評論家のキム・ソンス氏は、「司法機関による公的処罰がまともになされていないという大衆の怒りが、ダークヒーローブームにつながった側面がある」と話した。

ダークヒーロー物は、悪を迅速かつ痛快に処断する方法が、結局は暴力だという不条理を告発したりもする。「殺人者〇難感」で刑事のチャン・ナンガム(ソン・ソック)がイタンに向かって、「お前は神にでもなるのか? 君が何で罰を与えるの?」と聞くシーンが代表的だ。

オンライン動画サービス(OTT)を中心に社会の暗い断面を見せ、告発的メッセージを盛り込んだコンテンツが人気を集める現象の延長線だという見方もある。昨年7月に公開されたネットフリックスのドラマ「D.P.」シーズン2は、軍服務改善の社会的共感を作った。2022年に公開されたネットフリックスのドラマ「少年審判」は、触法少年に対する社会的議論を起こすきっかけになった。大衆文化評論家のハ・ジェグン氏は、「OTTコンテンツに接した視聴者たちが、SNSを通じて直ちに社会的公憤を共有する方法で社会問題を扱ったコンテンツが大衆から人気を得ている」と分析した。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com