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寒食の風景

Posted April. 05, 2024 08:47,   

Updated April. 05, 2024 08:47

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詩は、寒食の日の長安ののどかな風景をスケッチする。春風に城の中いっぱいに花びらが舞い、宮殿には柳が舞う。一日中火を起こさず冷たい食べ物だけを食べるようにした、寒食の日の禁令が解除される日没時間に合わせて、皇帝は側近の大臣たちに対し、「もう火を使ってもいい」というメッセージを伝える。それがまさにろうそく、詩人の目には皇帝の恩寵のように薄い煙が彼らの邸宅に染み込む場面が印象深く映ったようだ。話し方は淡々としていて素朴だが、このような宮中儀礼が非常に風変わりで上品に見えたので、この瞬間を盛り込もうとしたのではないか。

全く違う解釈もある。皇帝が寒食の日に禁令を破ったまま、いくつかの権力者にだけ特恵を施していることを風刺したということだ。その糸口は、詩の原文で見つけることができる。翻訳では、「夕暮れの宮殿で、顕職にろうそくを渡す」となっているが、厳密に言えば、「夕暮れの漢の宮殿で、五侯にろうそくを渡す」のほうが正確だ。「五侯」とは、後漢時代に桓帝によって諸侯に冊立された五人の宦官。皇帝を背負って、絶対権力を行使する人物の代名詞のように使われたりする。詩人は、皇室の不正を露骨に批判できなかったため、やむを得ず漢の事例を借りて、遠回しに皮肉ったという解釈だ。いずれにせよ、当時の徳宗はこの詩が好きで、長い間官職から退いていた詩人を重用したというから、あえて風刺詩として読む必要はなさそうだ。