Go to contents

地下鉄犯罪が昨年3546件、10年間で最大記録も保安官は逮捕権持たず対応に限界

地下鉄犯罪が昨年3546件、10年間で最大記録も保安官は逮捕権持たず対応に限界

Posted April. 17, 2024 08:33,   

Updated April. 17, 2024 08:33

한국어

「酔っぱらいを起こして乗り場に連れて行ったら、急に悪口をいわれ、こぶしが飛んでくるのは普通のことです」

14年間、ソウル地下鉄の駅舎で地下鉄保安官として勤務するキム・ソンテさん(47)は、「最近、江南(カンナム)駅で盗撮していた人を現場で摘発したが、警察が到着するまで20分間、乱暴を働くのをやっと制圧した」としたうえで、このように話した。

毎日700万人以上が利用するソウル地下鉄で、セクハラや盗撮など、昨年だけで3500件以上の犯罪が発生したことが分かった。しかし、地下鉄保安官は逮捕権を含めた司法権限がおらず、暴行被害に無防備にさらされている。

16日、警察庁によると、昨年ソウル内での地下鉄犯罪は、窃盗やセクハラ、盗撮などを含めて計3546件で、1日平均9.7件が発生した。2021年の2619件、2022年の3378件に続き、この10年間で最大を記録したことが確認された。地下鉄保安官や駅職員を対象にした暴行被害も、2日に1度の割合で発生していた。ソウル交通公社によると、保安官などを対象にした暴行被害は、2021年は204件、2022年は238件、昨年は177件など、毎年100件以上発生した。ソウル交通公社の関係者は、「地下鉄保安官は、公社所属の職員なので、身分証提示要求権や逮捕権、捜査権などがない」とし、「犯罪を摘発しても、むしろ暴行されたり嘆願、告訴などで苦しめられることが多い」と説明した。

専門家らは、毎年増える地下鉄犯罪に対応するため、豪州やオランダなどのように、地下鉄保安官に司法権を与える案を検討すべきだとアドバイスしている。地下鉄保安官に司法権を与える案は、ソウル警察庁所属の地下鉄警察隊との業務重複の懸念などで見合されてきた。オーストラリアは、鉄道会社の役員および関連業務担当者、雇用セキュリティ要員に警察権を付与し、オランダもやはり公共交通機関の執行官に逮捕を含む警察権を与えている。高麗(コリョ)サイバー大学警察学科のイ・ユンホ碩座教授は、「地下鉄で、凶器暴動や性犯罪、盗撮などの犯罪が増えており、警察力だけでは対応するのに限界がある」とし、「地下鉄保安官にも最小限の法執行権限を与え、犯罪者を現場で制止できるようにしなければならない」と話した。


イ・チェワン記者 チョン・ヘジン記者 chaewani@donga.com