ソウルに住む中学校2年生のキム・スヨン(仮名)さんは昨年9月、高校生の男子生徒と付き合い始めた。交際当初から男子生徒はSNSにアップする写真を自分で選ぶほど干渉がひどかった。自分と一緒にいない時のSNSの投稿について追及したり、以前の恋愛について問い詰めたり、暴言や暴力も振るうようになった。キムさんが同意しない性行為までしたという。このような「交際暴力」は今年3月にキムさんの教師が警察に通報するまで半年以上続いた。
最近、医学生殺人事件など交際暴力関連の事件が相次ぐ中、10代の青少年の交際暴力も増加していることが分かった。警察庁によると、10代の交際暴力の加害者は2016年277人から23年534人に2倍近く増加した。警察は22年から懲役・即決審判の加害者を除き、刑事立件した加害者だけの統計を出しており、実際の事件はもっと多いと推定される。
● 通報から行き詰まる10代の交際暴力
10代の交際暴力は、「学生が何の恋愛か」という認識のため、被害の事実を知らせることが容易ではない。恋愛そのものが「陰地」に置かれてタブー視されているため、被害者一人で悩んでいるうちに事件が大きくなることが多い。キムさんの事件も、別のテーマでの教師との相談で交際暴力を受けていることが分かった。
「韓国女性の電話」のパク・イェリム政策チーム長は、「周囲の大人に知らせる際に最も難しい点が何かと子どもたちに尋ねると、『がっかりされるのが怖い』、『10代としてやってはいけないことをしたようだから』と話すことが多い」と述べた。加害者が暴力を行使したことよりも、「大人の言うことを聞かないで恋愛をしたのが原因」と考える向きが多いということだ。
特に、性犯罪を受けても、親に知られることを恐れて通報を断念するケースも少なくない。警察の捜査が進めば、被害者であっても親などの法定代理人に通知しなければならないからだ。タクティーンネイルのイ・ヒョンソク代表は、「児童福祉専門機関などに(捜査状況を)先に通知し、被害者が適切な法的支援を受けられるようにしなければならない」と話した。
被害者が通報をためらう間に交際暴力が「デジタル性犯罪」につながる場合も多い。物理的な暴力だけでなく、交際時に一緒に撮った写真や映像などを流布すると脅迫されるケースが続いているのだ。アハ青少年性文化センターのハム・ギョンジン部長は、「最近の子どもたちはすべて認証して記録する文化を持っている」とし、「(交際しながら)緊密で近い『閉鎖的な関係』では、デジタル性犯罪がより多く発生するしかない」と話した。
● 「隠すのではなく、マニュアルを作るべき」
10代の交際暴力加害者は刑事処罰も難しい。持続的なストーカー行為がなければ、ストーカー処罰法で処罰することができず、交際当時に行われた暴力や脅迫などを立証するのが容易ではないうえ、加害者が10代であれば警察が指導で処理することが多いからだ。
先月、慶尚南道巨済(キョンサンナムド・コジェ)で20歳の男性が同い年の別れた彼女を暴行して死亡させた事件でも、彼らが高校生の時から3年余り交際している間に寄せられた暴力通報は11件に上った。しかし、被害者がすべて処罰を望まないという意思を示して終結したり、警察に「発生報告」されたりしただけだった。
専門家らは、10代の交際暴力を根絶するには、被害者だけでなく加害者もカウンセリングを義務づけなければならないと口をそろえる。アハセンターのハム・ギョンジン部長は、「何を悪いことをしたのか分からないから、あるいは分かっていても『私に何か不利益があるだろう』と思って(暴力を)続ける」とし、「思春期にきちんとした相談矯正がなければ、その後の成人になって起こる事故を予防できないという点で、重要な時期」と話した。一線の学校で、学生同士の交際を隠蔽するのではなく、「デート暴力」関連の対応マニュアルを作らなければならないという提案も出ている。
キム・ソミン記者 somin@donga.com