韓国と北朝鮮(北韓)のミサイル問題をめぐる協議が連日のように開かれている。米国と北朝鮮は10日、クアラルンプールで1年4ヶ月ぶりにミサイル協議を再開し、米韓の両国も14日からソウルで、ミサイル会談を開く予定だ。特に、こうした会談は、米国が米本土防衛(NMD)実験に失敗してから行われるもので、注目されている。
まず、米-北朝鮮協議では、北朝鮮がすでにミサイル発射を凍結した状態として、ミサイル開発と輸出問題を柱とした議題が議論されている。米国は、世界の戦略的な観点で、北朝鮮のミサイル開発と輸出までも抑制する一方、北朝鮮は、これに対して「主権にふれる問題」と強調しており、両国間の歩み寄りはなかなか難しいものと見られる。
本欄ではこれまで、東北亜地域でのミサイル競争を誘発させるような政策は、正しくないという立場を明らかにした上、北朝鮮にもミサイル技術輸出規制(MTCR)に加入するなどを求めてきた。今や、歴史的な南北首脳会談による朝鮮半島に和解と協力の雰囲気が高まっており、北朝鮮がそうした努力をすれば、一層評価されるだろう。
アメリカもこれからは、経済支援など、北朝鮮との互恵的な関係定立に向けて、積極に取り組むべきであろう。
米韓間ミサイル協議も同じく、韓国が現在射程距離である180kmとして「自律規制」を300kmに増強したとしても、朝鮮半島でのミサイル開発が始まる可能性はない。例えば、朝鮮半島の平和と安定を揺るがす意図ではなく、国際的なルールを守るという原則も明らかであり、韓国の安保需要だけを満足させるための「限定された開発」だからだ。
最近米国が発射実験で失敗したNMD問題もやはり韓国と無関係ではない。米行政府は、NMDが北朝鮮などの不良国家の米本土攻撃を防ぐためだと説明しているが、事実は、中国やロシアを牽制(けんせい)するためだというのが一般的な認識だ。したがって、NMD問題も国ごとに立場が異なっており、国同士で協議を通して解決すべきものであると思われる。NMD問題は、結局朝鮮半島を巡る周辺4強の葛藤を増幅させる要因として、韓国に否定的な影響を及ぼす可能性がおおきいからだ。
朝鮮半島のミサイルや、米国のNMD問題が、ようやく形成されてきた南北朝鮮の和解・協力的な雰囲気を害さないよう、関連国との賢明な協力が必要な時点である。