南北首脳会談以後、北韓(北朝鮮)に対する政策を巡って深まりを見せてきた与野党の葛藤は、北韓がハンナラ党のイ・フェチャン(李会昌)総裁を非難したことを機に13日、両政党が国会で対立するなど、激しい様相を呈している。
今回はその引き金が北韓の官営放送という点で、これまでの与-野党の葛藤から与-野-北韓の三竦みとなった。これまで水面下で生じていた保守-改革の葛藤が、北韓の非難放送によって明るみに出たのである。
南北首脳会談によって南北関係は改善する中、国内では北韓問題を巡って政党同士が対立し、双方の溝がより深まるのではないかと懸念する声も多い。
ことの経緯は、11日、北韓の朝鮮中央通信が李総裁を非難→12日、青瓦台関係者は、北韓だけでなく李総裁にも問題があると双方を非難→13日、ハンナラ党ゴン・オウル(権五乙)議員が 国会対政府質疑で青瓦台は北寄りと発言→民主党の反発、そして、これが国会の難航へとつながったのだ。
今回の波紋は、発言ミスの単純なハプニングで済ませることもできた。度重なる偶然が事を大きくしたともいえるが、綿密に分析してみると、偶然というよりは必然的な要素が多かったという見方が強い。
実際、民主党とハンナラ党は、すでに南北首脳会談を前後に、北韓に対する政策を巡ってお互い異なる意見を示している。
これは、今後の政局の主導権を巡って双方の利害関係が絡んでいるのもさることながら、両政党を支えている支持階層と北韓に対する見方の違い、ひいては互いの哲学の違いから生じたものである。
事実、民主党は、これまでハンナラ党が南北首脳会談と対北政策について問題を提起してきたことに対し、2002年の大統領選挙を意識した選挙戦略と見る傾向が強かった。また、野党が民族の重大事を政略的な側面でのみ接近していると不満を述べてきた。
一方、ハンナラ党は与党の対北政策について、国民の税金をかけた「危険な賭け」であると指摘すると同時に、与党が野党の声に耳を傾けないと非難してきた。
このような流れから、13日、国会が難航しているのは、南北首脳会談の時から深まってきた双方の葛藤が、北韓の放送が導火線となってついに火がついたものと解釈できる。
今後も、離散家族の再会やキム・ジョンイル(金正日)国防委員長の韓国訪問など、政府が北韓問題に対処していく中で、このような内部葛藤は続くだろうというのが一般的な見方である。キム・デジュン(金大中)大統領は、北韓だけでなく野党など内部の声にも耳を傾け、理解を得ながら南北問題を推進して行くという新しい課題を抱えたことになる。