金大中(キム・デジュン)大統領が青瓦台(チョンワデ・大統領官邸)を訪問した日本の河野洋平外務大臣との接見の場で話したという南北間の問題と次期政権に関する発言が政界に波紋を投じている。
金大統領は河野洋平外相に対して、北韓(北朝鮮)は私の過去の民主化闘争の一貫性、対北政策の一貫性を見て我々を信じていると言ったと述べ、北韓では次の政権でも現在の対北政策を一貫して推進するのか心配しているという話もあると答えた。
これについて青瓦台と民主党側は、北韓側から南北関係の一貫性を懸念しているという点を伝えたに過ぎないと述べているが、ハンナラ党側の主張はそれとは異なる。ハンナラ党側は現政権だけが統一志向勢力であり、次期政権は当然反統一志向でしかないという論理で、誤解される余地のある発言であり、南北問題を次期政権問題と連携させようという魂胆が露出したものだと主張している。対北問題を次期大統領選挙の主要イッシューとして持ち出し、長期執権への道を開こうという意図ではないかというのがハンナラ党側の視角だ。
金大統領の発言意図はこのようにそれを見る角度によって異なり、その真意については我々が今すぐにこうだと断言する立場ではない。しかし、本欄で何度も強調したように南北問題に関する限り、それが誰であろうと慎重で思慮深い姿勢を堅持することが民族の将来のためにも望ましいことである。南北問題は南と北の間であれ、我々の社会内部であれ、未だに多くの理解の衝突、葛藤の要素を内に含んでいるからである。
それよりも警戒しなければならないのは、問題を政権的視角で接近し解釈することである。そうなると消耗的な政争で国論の分裂を招くだけで、それはむしろ現在の南北関係を損ねるだけである。そのような理由から、本欄では数日前に、青瓦台のある側近が、李会昌(イ・フェチャン)ハンナラ党総裁は次期大統領の椅子が準備された地位にいると考えているかもしれないが、そのように考えているとしたら赤っ恥をかくだろうと発言したことについても、その軽率さを明確に指摘した。
今回の金大統領の発言も、誤解を招く余地が少なからずあるというのが我々の考えである。いくら対北政策の一貫性を望む北韓側の話を伝えただけにしても、今は時期的に北韓側が李総裁を乱魔ネ言葉で辛辣に批判した直後である。金大統領の発言は、北韓側がハンナラ党に対してはそのような一貫性を期待していないから、結局一貫性維持のためには民主党が再執権せざるを得ないという意味に聞こえる。
北韓との和解、協力を推進することはどんな政権になったとしても、歴史的な使命である。これは政権の次元ではなく、民族的次元で国民の同意を基に、隠し事なく行われなければならない。そして、対北問題は北韓側の望むことだけをかなえるような姿勢で臨んでは決してならない。