金融機関の不良債権が政府の発表より約20〜30兆ウォン多いという韓国経済研究院(以下、韓経研)の報告書が市場に大きな波紋を投げかけた。
わずか15日前、潜在的不良債権はないと宣言した金融監督院は、韓経研に公開質疑書を送るなど強硬な対応を検討していたが、20日からは無対応が上策という立場に変わった。 チャ・スンヒ韓経研院長も政府を助けるつもりの提案書が政府の欠点をあらわにした報告書に変わったと不満を隠せない。彼は、大学生のレポートという金融監督院の評価にプライドが傷付けられないかとの質問に、これ以上言及しないとし、政府との対決局面として映ることが負担のようだ。
論争の当事者がこれ以上の論争を避け不良債権規模論争は水面下におさまる模様だ。しかし論争はおさまるかもしれないが、市場の透明性は再び傷を受けた。
韓経研の報告書は不良債権規模を2種類の方法で推定した。金融監督院が大学生のレポートだと責めたのはそのうち1つの方法。もう1つの方法で計算しても、政府の発表91兆ウォンより20〜30兆多い不良債権が算出される。支払保証などを二重計算した誤りなどに対しても、韓経研関係者は小規模であったので、はじめから除外したと反論している。
金融監督院側は、利子をなかなか払えない企業は与信審査対象で源泉的に除外されると話した。しかしワークアウト企業に派遣された銀行管理団の道徳の緩みや無能を考えた時、この主張を受け入れるには無理がある。
韓経研の不良債権算出方式は新しいものでもない。それにもかかわらず、市場がこの大学生のレポートに大きな関心を見せたことは、逆説的に見れば、政府の統計の信頼度がそれほど落ちたためではないだろうか。金融当局は政府と民間の不良債権推計の差を精密に分析、明快に解明することが信頼回復のための近道だ。