歴史的な南北首脳会談以降、南北交流が活溌になると、政府の対北朝鮮政策は南北の同質性回復に焦点を合わせなければならないだろう。また、同質性回復という課題の中でも国家標準事業は非常に重要であると同時に、基本的かつ根本的な協力事業だと言える。国家標準は構成員同士の基本的な測定基準を一致させることにより産業活動を維持する柱になるためだ。
成文標準と共に国家標準の大枠を成す測定標準は産業活動に伴う測定の精密・正確度を維持し、製品とデータの互換性を保障する核心的な手段である。
国際化時代には国家間に相互認められた測定標準がなければ圓滑な交流と情報交換が行われない。南北間交流で測定標準を強調するのもそのためである。
南北協力が本格化し、対象分野が精密電子や機械など、先端分野に拡大されると、南北朝鮮のあらゆる工場から生産される部品と材料の互換性を維持することが欠かせない問題として浮上するだろう。
しかも北朝鮮で生産される部品と完成品を世界市場へ輸出したり、 外国部品を使用したりする場合、北朝鮮内の測定標準を国際標準に一致させることは切実な問題として浮上する。これらの問題を解決するため、現在計画されている北朝鮮・黄海工業団地に国家矯正機関としての役割を果たせる標準センターの設置を提案する。
北朝鮮の標準機関の国際標準活動が取るに足らないことを勘案すると、黄海工業団地に標準センターを建設することは最優先的に考慮すべき事項である。これまでの活動を勘案すると、北朝鮮独自で国際ルールに合う標準センターを設置・運営するのには少なからぬ困難が予想される。
わが国測定標準の代表機関として関連の国際機関において代表権を行使してきた韓国標準科学研究院(標準院)がこのセンターの建設に主導的な役割を果たすべきだ。 標準院は国内産業工業団地を中心に指定・運用されている169カ所の国家矯正機関に技術を提供し、標準を維持する最高機関として各地域の企業が計測器機を精密・正確に使用することに中心的な役割を果たしてきた。
折よく、標準院は黄海工業団地・標準センターの段階的設置・運営計画を設けている。この標準センターは黄海工業団地の他に北朝鮮内に設置される他の工業団地を支援することも目指している。特に、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)事業として建設されるシンポ(新浦)原子力発電所を支援するための放射線と化学分野の測定標準も含まれることになる。 黄海工業団地の標準センターは、 究極的に南北国家標準体系の統一に繋がる重要な橋渡しとしての役割を果たすものと期待される。
国家標準の効果は産業活動に止まらず、 科学技術、 教育、 医療保健、 環境、 国防など、一国のすべての経済・社会活動において欠かせない要素として働く。したがって、国家標準は分断された祖国の同質性回復に向けた土台になるのである。 政府は工業団地造成などの目に見える効果だけにこだわらず、本当の意味で南北を繋ぐ基盤作りに深い関心を示すべきだ。