日本のアジア侵略を「アジア民族解放戦争」と表現するなど、歴史を大きく歪曲した日本の新しい歴史の教科書が、近く文部省の検定に合格するという。日本の教科書の歴史歪曲は、これまで何回も提起されてきたことであるが、この本の場合は歴史の教科書としての最小限の客観性さえ欠ているということである。
この教科書が第2次世界大戦の戦犯国である日本を被害者として、相手国である連合軍を加害者として表現したことは歴史的事実を変えた代表的な例である。日本の第2次世界大戦参戦は、日本の領土を拡張しようとする欲望から始まり、近隣アジア諸国に耐えがたい苦痛を与えたことは説明するまでもない。
またこの本は、第2次世界大戦当時、日本が東南アジア諸国に「進出」した結果、欧州諸国の植民地だった国で独立運動が始まったと主張する一方で、日本の戦犯を処罰した1946年の東京極東国際軍事裁判は不当であったと指摘している。
この教科書は日本の右翼で構成された「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆したもので、予定通りならば2002年4月から中学校の正式教科書として採用されるという。右翼の片寄った観点を代弁したこの本がどれほど多くの学校で採用されるかはわからないが、私たちがもっとも懸念しているのは、このようなとんでもない内容がそのまま次の世代に伝わった場合の副作用である。
この本が教育の現場で使われる場合、日本と周辺アジア諸国の平和的共存に非常に否定的な影響をおよぼすものと思われる。間違った教科書を通じて、若い世代に歪曲された歴史認識が受け継がれる可能性があるためである。
より心配なのは、このような教科書の内容についてそれほど拒否感を持っていない日本国内の雰囲気である。報道によると、日本の自民党はこの教科書が検定に合格するよう、文部省にさらに圧力をかけているということである。
ここで私たちは、最近の森総理の「神の国」発言と東京都の石原知事の発言など、日本の指導層の妄言を思い出さざるを得ない。
もし、今回の教科書がこのような日本社会の極右的雰囲気から出たものとすれば、日本が掲げている21世紀日韓関係の発展と和解、平和などのスローガンは外交的美麗字句に過ぎなかったことになる。この教科書が日本の文部省の検定に合格することは絶対に看過できないことである。