最近与野党間で起きている反米論争が、国内のアメリカに対する葛藤をあおる結果にならないか心配だ。アメリカが行なったことは非難されてしかるべきだが、その非難が反米感情に流れてはならない。反米論争を繰り広げている政界もこの点に注意すべきである。
ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)総裁が、9日の記者会見で現政権が無分別な反米運動を野放しにしている疑いがあると述べると、民主党の徐英勲(ソ・ヨンフン)代表は、事実を歪曲し韓米関係に悪影響を与えうる発言であると反駁した。与野党が韓米駐屯軍地位協定(SOFA)やメヒャンリ事件、米軍の毒物放流事件などで起きた韓米間の不穏なムードに便乗して政略的攻防を繰り広げているように見える。
ハンナラ党側は、李総裁がこれらの事件が反米運動のきっかけになってはいけないという忠告をしたに過ぎないと説明した。しかし李総裁がそのような意図で発言したのが事実で、野党総裁の政治攻勢に過ぎないと聞き流そうとしても、聞き方によっては誤解を与える余地があったのは事実だ。現政権が無分別な反米運動を野放しにしている疑いがあるという主張は、一歩間違えば我々の対米政策や韓米関係の根本に対する猜疑心を引き起こす可能性があるからである。
アメリカが我々と心を一つにした盟邦としてこれまで朝鮮半島で担ってきた役割は、誰が何と言おうと高く評価されるべきだ。もちろん個別事案の性格や内容によっては両国政府の見解が異なり、両国民間に不快な感情も起こりうる。しかし米国の政策に対する批判は自然な現象であり、それらの批判は両国関係の健全な発展のためにも望ましい現象なのだ。
しかし、反米感情はまかり間違うと、韓米関係の根本を揺るがす危険要素を内包しているというのが我々の考えだ。金大中(キム・デジュン)大統領が1日の国務会議においてアメリカの政策を批判することはできても反米の方向に向かうのは間違いだとし、反米は絶対に韓国の国益にためにならないと強調したのもまさにこのためだ。
したがって、現在政界で繰り広げられている反米論争は、火種がどこにあろうと即刻中断しなければならない。政界のこれらの論争は、アメリカの政策に対する単なる批判の声が、反米と受け止められる風潮を作り出す危険性がある。さらに心配なのは、この論争が南北朝鮮間の歴史的な和解協力のタイミングを突いて韓国社会に根を下ろそうとしている反米主義をさらに刺激するかもしれないという事実だ。