南北当局は、半世紀の間、離散家族問題を解決するために数えきれないほど顔を合わせてはいるものの、未だ正確な人数すら把握していない。1000万離散家族という漠然な表現が分断の痛みを象徴してきただけだ。
開放して以来、朝鮮戦争が勃発する以前まで韓国に越えてきた人がやく350万名、戦争中に韓国に越えてきた人がやく100万名、越北者8万5000名、行方不明30万名など、延べ約500万名となるとみており、北側も同じ方法を適用して集計した数字が1000万名になると専門家等は見ている。即ち、大変大まかな計算に過ぎない。
政府が離散家族の人数に対して比較的実証的に調査したのは94年韓国統一省の国政監査資料。この資料によると、90年11月統計庁の「人口住宅総調査」を通して集計された韓国居住35歳以上の北朝鮮出身人口は41万7632名(当時の全体人口の1%)で、これを根拠に算定した南北間総離散家族数は420万名という。
しかしこれに対して「以北5道庁」などは、以北出身らが原籍を変えた場合が多く、正確な統計としてみるには無理があると話している。このたび、統一部と大韓赤十字社が出した統計は、実際により近付いているとみられる。
この統計によると70年まで北朝鮮地域を原籍地とし、仮戸籍の届けをした人は546万3000名で、これを根拠に71年〜96年の人口増加率40.34%を勘案して推定した96年基準の韓国居住離散家族総数は約767万名に及ぶ。この中で、離散1世代は123万名(16%)だ。
北朝鮮専門家らは、統制社会である北朝鮮は、韓国に比べより正確な離散家族統計を持っているとみなしている。 昨年北朝鮮では、社会安全部が離ればなれになった家族探すという事業を拡げて、北朝鮮内及び海外居住の離散家族探しも行なったと伝えられている。
また、以北5道庁の関係者は「離散1世代が70歳前後の高齢となっており、家族の生存のことも知らずに亡くなる離散家族が増えているためこれ以上遅らしてはならない。離散家族の実態に対する南北間の共同調査が行われなければならない」と主張している。