去る6月、平壌(ピョンヤン)での史上初の南北首脳会談が行なわれて以来続いているピョンヤンからのニュースが連日大きな波紋を投げかけている中で、ハンナラ党が苦心している。特に9、10月の離散家族の追加訪問など、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が韓国のマスコミ社長団との晩餐で放った発言が現実のものとなり、北朝鮮のイベントが長期化した場合、これまで政府の対北政策に対し悲観的な立場をとってきた党が劣勢に立たされることを懸念する声も党内に出てきている。
党のある関係者は15日、「金正日の一言一言に社会全体が揺れていてもいいのか」と言いながら、「涙の政局」には本当にめまいがする。これでは定期国会の期間中にも野党の声が静まってしまうのではないかと心配している。このような悩みは金正日委員長が李会昌(イ・フェチャン)総裁に対して訪北招請の意志を明かしたことにより、より一層深くなっている。李総裁は「まだ北からの公式な提議がない状況でコメントするのは望ましくない」ということを権哲賢(クォン・チョルヒョン)代表人を通して伝えた。
李総裁のある側近は、北側の真意を正確に把握するとは難しい、招請状が来たとしても無条件に承諾すれば向うに一方的に引っ張られる危険がある、だとしても拒否すれば反統一勢力にされるため、あれこれ処理が難しいと語った。
しかし、他の関係者は「労働党記念行事に李総裁が出席するのには問題あるが、例えば北朝鮮の農村を訪問し、一般住民に会うことは金大中(キム・デジュン)大統領とは違った訪北になるので検討してみる価値がある」と述べている。訪北の形式や内容によって李総裁の訪北を肯定的に検討しみてるということであった。
一方李総裁は14日、南側の離散家族訪問団に会って激励したのに続き、15日には汝矣島(ヨイド)の党舎に出て離散家族訪問の場面をテレビで見守った。南北首脳会談の時とは違った雰囲気で李総裁とハンナラ党の対北の基本路線に多少の変化があるのではないかという分析もある。
李総裁は、8・15光復節第55周年記念式でも先の国政混乱の克服などの前提条件を盾にしながらも、南北が離散家族訪問の制度化のために最大限の努力をしなければならないなどの前とは違ったトーンで南北問題について話した。これについて党関係者は、離散家族問題は他の南北問題とは違った側面を持っているために違った角度から接近しているだけであり、今も党は金正日委員長の対南のジェスチュアを根本的な変化の始発点というよりは戦略的なものと把握していると語った。