財閥のベンチャー企業への投資が奇妙な方向に流れている徴候があちこちで感知されつつある。総帥の2、3世に相続して贈与税を納めずに富を移す手段として利用したり、偽装系列会社として運営しながら経済力の集中を深化させているというのだ。
公正取引委員会は三星(サムスン)、現代(ヒュンダイ)、LG、SKの4グループに対する不当な内部取り引きなどの調査に乗り出し、一部の財閥が特殊関係にある者(総帥の2、3世)が所有するベンチャー企業に不当な支援をした疑いを認めたことを明らかにした。具体的な事実関係は調査を通じて今後明らかになるだろうが、公取委はこれまでの資料収集で4大グループ系列会社がベンチャー企業に不当な支援をした充分な証拠を事前に確保した上で「刀を抜いた」ようである。
財閥の2、3世が大株主の一部ベンチャー企業は、オフラインで親グループ系列会社から資金と優秀な人材を支援してもらい、グループ内部からでさえ不満の声が漏れるほどだった。大企業系列会社の全面的な支援を受け、安定性と未来成長性の側面では有利な条件を備え、財閥の2、3世が保有する株式の価値が上がる結果になる。結局財閥の2、3世が高い税金を納めずして富を譲り受けるという新手で変則な相続手法だと言えよう。
各財閥グループは、ここ数年のベンチャーに対する社会の歓迎ムードと政策支援を背景に、新経営という名分を立てて大々的なベンチャー投資に飛び込んできた。これらのベンチャー持ち株会社の半分以上は財閥の2、3世が所有している。
公取委によると、特定のベンチャー企業を事実上支配しながらも、系列に編入しない偽装系列会社もあるという。財閥金融機関が低金利で貸し出したり、系列会社間における資金支援の媒介的役割をするという知箔Iな支援手法も「活用」されている。
機動性を失った財閥が技術と創意性を武器に多産多死する冒険産業に「タコ足」式に手を広げるのは望ましいことではない。財閥のベンチャー投資は既存のオフライン産業との連繋性を持つ経営戦略的投資に止めなければならない。
財閥の無分別なベンチャー進出は公正競争の基盤を揺るがし、せっかく芽生えたベンチャー企業の芽を踏みにじることにもなりかねない。そればかりか、上場財閥系列会社が財閥の2、3世が所有する非上場ベンチャー企業に投資することは、上場系列会社の少額株主の利益を騙し取っているに等しい行為だ。
公取委は、2ヶ月間で4大グループの中でもベンチャー進出が早かった三星とSKグループについて調査を集中する計画だという。公取委は期限を2ヶ月と区切らずに、充分な調査を通じてベンチャー企業が変則的な贈与相続の道具に成り下がることを食い止めなければならない。