74日も続いていたロッテホテルのストライキが、労使がともに少しずつ譲りあうという形で妥結したことは誠に幸いなことである。労組側も賃金引き上げや非正規職の正規職への転換などかなりの部分で譲っているが、全体的には会社がたくさんの部分で譲歩し、これを労組が受け入れた形になったという印象である。
ロッテホテルはストライキの間、客室のブッキング率が前年同期に比べ5割程度に過ぎず、450億ウォン程度の損失を受けたものと推定される。韓国最大のホテルが長期間ストライキを起していたことによって、国と会社のイメージダウンによる損失は果たしてどれくらいになるのかは計りがたいはずだ。ロッテホテルが団体交渉の最初から誠実に対応していれば、今回のような有と無の形の損失は防げたのではないだろうか。
ストライキが長期化したのには、何よりも政府の過剰な対応が決定的な原因となった。
飲酒鎮圧をしたのではないかという疑いがでるほど、警察の過剰な沫ヘによる鎮圧で、民主労総が加勢し、一事業場の労使問題が労政問題へと拡大するに至った。当時、医師らの閉業事態がおこってから、金大中大統領が集団利己主義を懸念すると発言したことで、警察は関係機関との助ェな協議なしに鎮圧作戦を始めた。今回、ロッテホテルのストライキは、スト現場に対する警察の介入は、やむを得ない場合に限って、そ最小限に止めるべきだという教訓を残した。個別企業の労使問題は時間がかかっても、当事者が解決すべきである。
労組側も営業妨害、器物損壊、膜セ、座り込みなど、違法的な行動により、結局、警察に介入するきっかけを提供したという点で反省しなければいけない。
労使紛争の過程で発生したセクハラ被害を受けたとされる女性社員の集団告訴は、女性社員の数が270人に達し、女性団体まで加勢したことでまったく別の事件と化した。ャEル地方労働庁の調査結果が出るまで確かなことはわからないが、「お酒を注がせ」たり、「ダンスを強要」したことは、これまでは許された事かも知れないが、今の時代は容認されない時代である。ロッテホテル事件を例に韓国の企業は、職員対象のセクハラ蘭h教育を強化しなければいけないだろう。
国際通貨基金(IMF)管理体制以降、各企業は人件費を節減するために非正規職を大幅増やした。ロッテホテルの非正規職の割合は56.9%と、韓国全体平均の53%よりも高い。今年の団体交渉で主なイッシューとなっている非正規職の福祉向上に、企業らが関心を持つべきではないだろうか。