北朝鮮がアジア開発銀行(ADB)に加入申請書を公式提出したことは、経済を再建するには国際金融界の資金支援が切実だという判断に従ったものだと解釈できる。
北朝鮮は90年代の半ばからADB加入の意志を明らかにしてきたが、今回は公文を送る形式を借りて、いつもより積極的に取り組んでいる。南北経済協力にかかる天文学的な資金に負担を感じている韓国政府は、既に北朝鮮に対して「国際金融機構への加入を積極的に支援する」という方針を決定しているだけでなく、強い発言権を持つアメリカや日本も、最近、北朝鮮の加入に対して好意的な態度を示すようになったため、北朝鮮の加入は実現する可能性がかなり高いと見られている。
会員国になれば、ADBから資金および技術支援を受ける資格ができる。まず、域内低所得国家の経済開発のために支援されるアジア開発基金を年1〜1.5%、満期24〜32年という破格の条件で借りることができるようになる。財政経済省の関係者は、加入直後でもすぐに1〜2億ドル程度の支援は受けることができるだろうと話した。
しかしADB加入の意味はこのような資金支援だけに限らない。何よりも上位機構の国際通貨機構(IMF)と世界銀行(IBRD)に加入するための橋頭堡を築きあげることができるため、多大な効果を期待できる。万一、IMFが北朝鮮の加入を許可した場合、これはアメリカヨーロッパ連合(EU)などの民間投資者の北朝鮮投資に伴う心理的な負担を取り除くことができる。IMFは、9月の末にチェコスロバキアのプラハで行われる定例総会に北朝鮮を特別招待するという方案を積極的に検討している最中だ。
ADBに加入するには、国連(傘下機関も含めた)やアジア太平洋経済社会理事会(ESCAP)の会員国として、ADB会員国の3分の2以上の賛成を得なければならない。申請から正式加入に至るまでかかる時間は通常3年だが、例外的に1年以内に決定することもある。
もちろん、北朝鮮の加入に障害がない訳ではない。ADBに加入すれば、北朝鮮は経済成長率など、マクロ経済政策と関連したADBとの協議を定例化せねばならず、経済社会など、各分野の通例を作成する時に、国際基準を順守することが義務となる。
これまで閉鎖経済を守り通してきた北朝鮮の立場からすれば、経済運用の過程を公開しなければならないのは大きな負担だろう。最近、北朝鮮とアメリカ、北朝鮮と日本の関係が好転しているにもかかわらず、総出資金の中で共に13.2%の持ち分を保有しているアメリカと日本の国内世論も変数のひとつである。