ハンビッ銀行の巨額の不法貸出事件をめぐって、相次いで新しい疑惑が出ている中、警察の動きは依然として微温的である。銀行側も貸出しの総規模など、この事件の中核的な事柄については口を閉ざしており、この事件を今回問題となった支店長の個人的な不正に止めようとしているような印象を与えている。銀行側はこの事件の告発者でありながらも、裏に何かを隠しているのではないかというような印象を与えている。
検察と銀行は、今回の不法貸出の規模が460億ウォンあまりだとしているが、これは今年の6月以降、貸出した金額のうち返済してない金額であり、全体の貸出し規模は1000億ウォン以上だといわれている。にもかかわらず、検察と銀行は総規模や貸出しの過程などについての説明をはばかっている。
貸出しをした後、返済した金額については問題が無いのではないかと思っているかも知れないが、今回の事件において総貸出しの規模はかなり重要な意味を持っている。もちろん数回にかけて貸出しが行われたのではあるが、一支店で2年間に1000億ウォン規模の貸出しが行われたということは、断じて正常的な金融取引ではないといえるだろう。第一線に勤めている支店長らも「本店を通さずには絶対できないこと」だと話している。
すでに逮捕された中小企業の代表パック・ヘリョンさんの弟で、今年の4月まで青瓦台(大統領府)の行政官として勤めていたパック・ヒョンリョンさんが、第一次の背後勢力であると推定されているが、実際はそれ以上の「見えない手」が作用したはずだというのが金融界の指摘である。パックさん兄弟から貸出しの保証を頼まれて、これを拒否した信用保証基金の元ヨンドン支店長であるイ某さんが話した「青瓦台の高官」に世間の目が集中しているのもそのためである。
イさんは、嘆願書を通じて昨年2月当時、青瓦台の高官が直接電話し、貸出しの保証を要求しこれを断ったら、信用保証基金の理事長が辞任を要求した、と主張している。イさんは貸出しの保証を断った後、青瓦台の民政首席室直属であるサジックドンチーム(警察庁の調査課)の「報復性のある調査」をうけ、サジックドンチームも調査事実を認めているのは、いろんなことを示唆している。
イさんの主張が事実であれば、問題の高官が当時、信用保証基金だけに圧力を行使したはずがない。ハンビッ銀行に対する圧力は、ずいぶんその強度が強かったとみてもいいだろう。検察はパック・ヒョンリョンさんを対象に信用保証基金に対する圧力説から究明すべきである。しかし、検察はなぜかこの部分に対する捜査には積極的ではない。度重ねて強調するが、今回の事件のポイントは、イさんが話した青瓦台高官の介入を明らかにすることである。