全斗煥(チョン・ドゥファン)前大統領は「フィッシャー」の信奉者だった。
通貨主義の経済学者であったフィッシャーが提案する‘交換方程式’を信仰のように崇めていた。
前斗煥政権7年間の経済政策は、フィッシャー理論に従って変動していたと言っても過言ではない。彼が青瓦台(チョンワデ・大統領官邸)の記者室に立ち寄り、フィッシャーの方程式を説破したという逸話は今も話題にのぼる。故金在益経済主席の影響だった。
フィッシャーの交換方程式というのは通貨量と物価間の相関関係を表す等式で「通貨量(M)に貨幣流通速度(V)を掛けた数値は、物価(P)に取引き量(T)を掛けたものと常に一致する」という意味だ。一般に‘MP=PT’と表されている。
この方程式が最も強調しているのは、物価(P)は通貨量(M)とともに変動するという事実。シカゴ学派の大家であるアメリカのフリーダーマン博士は「インフレはいつどこででも貨幣的現象」であると喝破している。
通貨量はまさに物価であるという指摘だ。
今週はこのフィッシャー方程式を、じっくり吟味しなくてはならないようだ。物価が急騰している。これまでの2年6ヶ月の間、構造調整を行ないながら、多くのお金を投入してきたが、秋夕(チュソク・旧盆)を前に供物などの需要が高まっているためで、そこへ台風のフラフィルーンまでもが重なっての物価急騰となっている。
7日(木曜日)金融通貨委員会開かれる。フィッシャーの言うとおりならば、通貨緊縮は避けられない状況だ。
すでに市場では金利引き上げ説が出ている。問題は金利引き上げが株価暴落や景気下落を引き起こしかねないという懸念があるという事実だ。秋夕用資金増加の事実も負担となる。こういった状況の中で、政府がどのような選択をするのか気になるところだ。
今回の決定は、特に陳稔(チン・ニョム)経済チームの現実認識と経済観を身をもって示す、初めての処置となる点で注目される。秋夕用の消費財商品の円滑な需給も今週の課題だ。
北朝鮮のアジア開発銀行(ADB)会員加入論議が本格的に開始された。会員の等級および抑制対策、イ・イクチの公式退任、ベンチャーとコスダック育成策、デウの役職員問責、ハンビッ銀行の過大貸し出し事件、そして南北の経済協力等も関心事項だ。