—7日のソウル駅前の集会にもかかわらず、与党・新千年民主党は何の反応も見せていませんが、今後の解決策といえばどんなものがあるでしょうか。
—私も非常にもどかしく思っており、国民にも申し訳ないと思います。問題はその原因がどこにあるかです。まずは、与党が国会法改正案を単独で処理したことをあげられます。与党は、自ら単独では可決しないと公言しながらも不意打ちをしました。二つ目は、不正選挙捜査を縮小隠蔽したことです。何よりもこの件が重要なのですが、これは国の紀綱を揺るがすような事柄であり、ただの失言だとはおもえません。
—どっちに非があるにせよ、国民は定期国会は正常に開かれるべきだと思っています。野党が電撃的に国会に戻るつもりはないでしょうか。
—私たちは国民に媚びを売るためにこんなことをしているのではありません。何の手がかりもなしに国会に戻ったところで問題解決にはならないでしょう。これは国会に戻ることよりも公共の利益になるかも知れません。
—国民は選挙費用の捜査介入の疑惑やハンビッ銀行の違法貸出しの件などについて戸惑いを感じております。
—難しいことではありません。傲慢さや我執を捨てるべきです。民主党のユン・チョルサン( 尹鐵相)議員の(選挙費用捜査に介入したなどの)発言が失言であれば、それを究明するための特別検査制度を導入すればいいのです。ハンビッ銀行の件もそうです。
—ハンナラ党は、このままでは金大中大統領も悲惨な末路を迎えるかも知れないと警告し、ウォーターゲート事件たとえたりしますが、総裁の意見はいかがですか。
—私もそんなにいい気持ちではありません。当時、アメリカではウォーターゲート事件がニクソン大統領の政治生命に終止符を打つとは誰も思いませんでした。しかし、事件を匿おうしたことが事を大きくしたのです。金大統領やその側近も最近の疑惑を失言や末端職員の不正事件として適当に済まそうとすれば、より大きな波乱を引き起こすことになるでしょう。
—金大統領と総裁との個人的な不信が、与野党の関係悪化の主な原因だという意見もあります。金大統領に力となる考えはありませんか。
—政局が今日の事態にいたったのは、個人的な不信よりは政局を眺める金大統領の認識に問題があるからです。与党はより力強く、多数でなければ政局を主導できないと思っている限り、今後もこのような状態が続くでしょう。私も、大統領が任期中、大統領としての任務に充実できるよう努力しました。しかし、毎度不意をつかれました。
—次は南北問題についてです。相互主義を要求している野党の価値観では南北関係が進展しないという意見がありますが。
—その進展というものがどんなコンセプトかによって違います。ガラスのように割れやすい進展は、本当の意味での進展とは言えません。展示効果だけをねらうようではいけません。たとえば、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民の暮らしを向上させるためには、北朝鮮の経済構造の変化が先決課題となりますが、現在そのような変化の兆しは見当たりません。私たちは、健全な、真なる意味での進展のために、必要なことを主張しているのです。
—在韓アメリカ大使館のボスワーズ大使が、南北経済協力に必要な費用は、結局韓国が負担することになるだろうと話しましたが、統一費用の財源はどう調達すべきだとおもいますか。
—ボスワーズ大使の発言は非常に重要です。(統一費用は)韓国が賄える範囲内で支援すべきです。しかし、政府は開城(ケソン)工業団地造成計画などイベントでも行うような形で経済協力を進めています。私は財源調達について北東アジア開発銀行の設立を提案したことがあります。
—第2の経済危機が到来するという話もあります。公的資金の規模についてはどう思っていますか。
—私は現在、韓国の経済は非常に危うい状態だと思っています。一部では今年の下半期から来年までが心配だと言う意見もあります。政府が景気の建て直しのために莫大な資金を投入したため、景気が低迷しているとの話です。政府が97年の流動性資金危機を乗り越えたのは確かですが、外国為替危機を乗り越えたのではありません。公的資金は10兆ウォンだけでなく、それ以上になっても、経済の立て直しに必要であれば投入すべきです。ただし、その用途については透明にしなければなりません。
—去年、大統領4年再任改憲を肯定的に検討しているとの意見を述べたことがありますが。
—改憲を提起すれば考慮してみると話しました。2002年の大統領選挙が行われる前に、改憲について議論してはいけないと思っています。内閣制度は韓国の実情には合っていません。
—次期大統領選挙で勝利する可能性はあるでしょうか。もっとも有力なライバルはどなただと思いますか。
—今はそれ以外にも頭を悩ませる事が多くて・・・(笑)それについてはまだ時期尚早だと思います。
—李総裁は金大中大統領や金鐘泌(キム・ジョンピル)自民連名誉総裁が追求している民主主義は少し違うように思えますが。
—法の原則と法治の概念をまず確立すべきだと思います。現政府の国政が混乱をきたしているのもそれが守られていないためです。市場経済の基本概念はルールを守ることです。ハーボマスは、これを法秩序と表現しました。法治、法の支配が政治、経済、社会の基盤になってこそ、統一も大きな動揺なしに成し遂げられるのです。
—朝鮮半島をめぐる列強との関係はどう思っていますか。
—まずは、韓国とアメリカの同盟あるいは相互作用は、今後も重要な基盤になるべきだと思います。これに、ペリー政策による日米韓の共助が、朝鮮半島の懸案の解決に重要な役割を果たせます。その上、朝鮮半島の平和定着のために、中国とロシアの建設的な役割を導くべきでしょう。
—金正日(キム・ジョンイル)総書記がソウルを訪問すれば、対面する計画ですか。
—本当に来るかどうかまだ分からないことだし、もし来るのであれば、その時は会うかもしれません。
—与野党の首脳会談を開く考えはないですか。
—先ほども申し上げましたが、問題解決のためにはもっとも重要な事が解決されなければなりません。与野党の首脳が会うからといって問題解決につながるわけではありません。
—もし大統領に助言する機会があるとすればどんなことを・・・
—大統領がもう少し正直で謙虚になってほしいです。「国会は多数決である。与党が力を養うべきだ」とおっしゃったのを聞いて仰天するばかりでした。これは多数の力で押し付けろと言っているようなものです。野党は飾りではありません。より広く周辺を見るべきです。