北朝鮮の対南政策を総括している実力者、金容淳(キム・ヨンスン)労働党秘書兼アジア太平洋平和委員長の仲秋節(旧盆)に際した韓国訪問が、どんな成果をもたらすかは、彼が今日、韓国を発つ際に発表される報道文などを通じて明らかにされるだろう。とは言え、金正日北朝鮮総書記の最側近として知られている彼がチェジュド(済州道)で韓国政府の対北政策責任者である林東源(イン・ドンウォン)大統領特別補佐官と深夜単独で会い、現在の南北問題について深度のある話し合いをしたと知られ、その結果が注目されている。
南北首脳会談と6・15共同宣言以来、急流に乗っているように見られた南北和解協力の流れに、最近、異常な兆しが見え隠れしているとの指摘が多い。つまり、韓国が離散家族の追加再開に向けた赤十字会談を開くことを提案し、ソウルーシンウジュ(京ー義)間鉄道の復元のための接触を提議したのにもかかわらず、北朝鮮は何の答えもしてこなかった。
これらの問題に対して金秘書が韓国側とどんな話を交わし、どんな打開策を模索したかは分からないが、南北問題の本質は軍事的な緊張緩和や平和の保障にあるとの基本的な認識を持って両側の話し合いを進めてもらいたい。
このような状況のため、今回、金秘書一行に北朝鮮の人民軍総政治局副総局長兼国防委員として軍部の首脳の一人である朴在慶(バク・ゼキョン)大将が含まれたのに対して、我々は相当な期待を寄せていた。南北間の軍事的緊張緩和に向けた予備接触のようなものでも成されるのではないかと思われたからだ。
しかし、朴大将は松茸だけを韓国に伝えたまま、訪韓6時間ほどで帰ってしまった。国防省は趙成台(チョウ・ソンテ)長官の政策補佐官である金鍾煥(キム・ジョンフヮン)中将を空港に行かせ朴大将を迎えるようにし、趙長官との面談を提議したが朴大将はこれを拒絶した。
いくら彼の任務が金正日総書記のお土産の松茸を伝えることだったとしても、陸軍大将が松茸だけを伝え、その足で帰ってしまったのは理解出来ないことだと言わざるを得ない。このような北朝鮮の態度から見て、南北の軍事的緊張緩和問題に北朝鮮が真の誠意を持って取り組むかも疑問だ。
韓国政府は北朝鮮に60万〜70万トンの食糧借款を提供するという。しかし、いくら人道主義レベルでの支援だとしても、南北間問題の本質的な問題解決にプラスにならないものなら、国民の支持は得難いだろう。
そうでなくても、韓国政府が南北関係で一から十まで北朝鮮の言いなりになっているとの批判の声がますます高まっている。万が一、北朝鮮が韓国には経済協力と食糧支援だけを求め、平和協商はアメリカを対象にしたいという思惑なら再考すべきものがある。