ハンビッ銀行不正融資事件を単純な詐欺事件と規定したソウル地検の捜査結果に対し、一部の検事たちが納得しかねる部分が多いと批判の声を上げ始めたという。先日開かれたソウル地検拡大幹部会議において、不正融資の動機と外圧疑惑に対する捜査が不十分だったと指摘された。これは聞き流してもいい次元の話ではない。捜査を担当した同僚の前でこのような意見をあらわにしたということは、この事件を改めて捜査し直すべきだということに他ならない。
事実検察が秋夕(仲秋節)連休を目前にして、急いで中間捜査結果を発表したことからしてどうもきな臭い。検察側としては、時間が経てば事件もいい加減忘れ去られ、検察に対する非難もなくなるだろうと期待したのかもしれないが、むしろ連休期間中に疑惑が深まり、世論も険しくなった。融資過程に外圧があったという痕迹があちこちで表出してきたにもかかわらず、証拠がないとしてこれらを取り上げずに単純な詐欺事件だったという結論を下したためだ。
特に検察が事件内容と主要関係者が共通しているにもかかわらず、ハンビッ銀行事件と信用保証基金融資保証圧力事件は別件だとし、はじめから保証基金事件については避ける方針を貫き、いまだにその立場を崩さないでいることが問題だ。保証基金事件の場合、検察に手配されている元ヨンドン支店長の李運永(イ・ウンヨン)氏が二度に渡って記者らの前に現れ、朴智元(パク・チウォン)長官の圧力について証言した。また李氏の出身大学同窓会の関係者達は事件の解決のために三度も朴長官と会った事実が明らかになっている。
さらに最近になって民主党の権魯甲(クォン・ノガプ)最高委員が昨年5月に朴長官圧力説を耳にしていたという話まで持ち上がった。もちろん本人は否認しているが、関係者の証言がかなり具体的である点をみると、この事件を政治的に解決しなければならない取引があったのではないかという疑惑を生んでいる。
先日、民主党最高委員の間でも朴長官問題が取りざたされた。民主党議員13人が昨日、議員会館で会合を開いて特検制受容論を提起したのは、遅れ馳せながらこの事件の本質をしっかり把握したように見える。民主党議員らも指摘したように、国会法強行採決、選挙不正縮小隠蔽疑惑、医療界スト、油価波動など険しい世論の真っ只中にハンビッ銀行事件と保証基金に対する外圧疑惑が存在する。
にもかかわらず、金大中(キム・デジュン)大統領が相変わらずこの問題を軽視しているのが残念である。金大統領は先日民主党指導部に対して、朴長官が疑われているのは知っているが証拠がないのではないかと語ったという。証拠はあるのかないのか。もとより検察がろくに捜査もしないまま証拠がないと断定した理由はいったい何なのだろうか。
この事件を特検制によって解決しなければならない理由は、金大統領や検察首脳部のこのような安易な現実認識にあると思えてならない。