米国が急騰する国際原油価格を抑えるため、湾岸戦争などの非常事態用に備え備蓄していた戦略備蓄油(SPR)を、91年湾岸戦争以後9年ぶりに放出することを決定した。これにより国際原油価格は落ち着きを取り戻し始めた。
ビル・リチャードソン、米エネルギー長官は22日(金)、「今年秋の暖房油供給をスムーズにするために、ビル・クリントン大統領がSPR3千万バレルを放出するように支持し、25日から1日100万バレルずつ30日間これを放出することにした」と発表した。
SPR放出量3千万バレルが実際に市場に流されるのは、11月になるものと見られる。
リチャードソン長官は「今がSPRを放出する最適な時期である」と述べ、「政府は必要な場合、追加措置を取る準備がある」と語り、今回の放出でも国際原油価格が安定しなければ放出の規模を拡大する計画であることを示唆した。
米政府のSPR放出計画が発表された22日(金)、国際原油価格は大幅に下落し、ニューヨーク商品市場の西部テキサス中質油(WTI)10月分は前日より、1バレル当り1.95ドル下落した32.34ドルで取り引きを終えた。同じ日、ロンドン市場の北海産プラント油(10月分)も前日対比1.73ドル下落した30.76ドルで取り引きを終えており、韓国が主に輸入しているドバイ油(11月分)は、1.17ドル下落した29.21ドルで取り引きを終え、一週間ぶりに29ドルに落ちた。一方イギリス総理室は「アメリカのSPR放出決定は、非常に歓迎する措置であり、これを契機に国際原油価格が安定することを期待している」と明らかにした。
クウェートのナセル・アルーサバ石油長官は「SPR放出により、原油価格が下降することを望んでいる」とし、「我々は心から産油国の増産を促進している」と語った。しかし、石油輸出国機構(OPEC)議長であるベネズエラのアリ・ロドリゲス石油長官は、「原油価格は落ちるだろうが、その効果は一時的なものに過ぎない」と主張した。