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この一枚の写真

Posted October. 04, 2000 12:37,   

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少年ラミの恐怖に歪んでいる顔が忘れられない。パレスチナ・ガザ地区の銃声が轟く街、塀の下にうずくまって恐怖に脅えている少年。そばにいた父親の助けを求める叫びも四方からの銃声にうもれてしまう。まもなくラミはがくんと首を落している。腹部貫通死亡。12歳のこの少年は死に際に何を考えたのだろう。「戦争と憎悪」の意味を思わせる場面である。フランスのテレビカメラがとらえたこの数秒間を見たアラブの人々は憤りに満ちている。

報道写真は刹那との対決である。時代の表情を刹那にとらえ、そのリアルな一つの場面のために写真記者は命を懸ける。そして、この劇的な「場面」は巨大な歴史の歯車を動かす。1968年、ベトナムの警察庁長だったロアンのベトコン即決処刑写真がそうだった。ロアンが大通りで、捕まえられた敵軍のこめかみに銃口を当てている。ベトコンは恐怖に脅え、目を閉じており、引き金を引いた瞬間、頭から血が吹き出しながら倒れる。翌年、ピュリッツアー賞を取ったこの写真は、アメリカの世論を反戦へと転じさせた引き金となった。

73年にピュリッツアー賞を受賞した「ナパーム弾に焼かれた少女」の写真も歴史の流れを変えている。ベトナムのある村に米軍のナパーム弾が投下され、9歳の少女が全身にやけどを負い、泣き喚きながら 裸で走っている。その凄絶な疾走は、米国内外の反戦の声を一層高めた。94年ピュリッツアー賞を受賞した「スーダンの飢えた子ども」の写真も、アフリカの飢餓の惨状を世界へ知らしめた。大きな鷹が、ガリガリに痩せた3、4歳ほどの少女が息絶える瞬間を待っている場面である。しかし、写真を撮ったキャビン・カーターは、シャッターをおす前に、少女の面倒を見るべきだったと批判され、結局自殺してしまった。

写真は光で染まる時代の写生である。そしてその反響は、人間の存在に対するメッセージが強いほど大きくなる。ライフ、死、戦争、憎悪、葛藤などの根源的な問題を叩けば叩くほど、共鳴する。ラミの死をテレビで見たアラブ圏は、「イスラエル打倒」を打ち出している。その戦雲に覆われた地域を見守っている世界各地の人々は遣り切れない気持ちであろう。果たしてこれからどれほどの「ラミ」が恐怖の中で死んでいくのだろうかと。



金忠植(キム・チュンシク)記者 seescheme@donga.com