月曜日に開かれた与野首脳会談の席で出てきた、金大中(キム・デジュン)大統領の「国民投票発言」が波紋を呼んでいる。朴鉂瑩(パク・ジュンヨン)青瓦台(大統領官邸)スポークスマンは「遠い将来にあるかもしれないことで、大きな比重を置く必要はない」と大したことはないと語るが、そもそも南北朝鮮関係が敏感に進行している時でもあり、金大統領の真意に対する疑問が拡散しているようだ。
金大統領は「連邦制では外交・軍事権を中央政府に一任するが、低い段階の連邦制はそうではないため、(北側が連邦制を)断念したのだと思う。この問題は我々の目の前に迫っている訳ではなく…」としながら、「ともすれば国民投票も経なければならない状況になる」と述べた。この文脈から、金大統領は統一方案や統一過程の改憲に対する国民投票を念頭に置いているのではないかと読み取れる。
しかし、いくら将来的な一任を仮定したものだとしても、今が南北関係の重要事案や統一のための改憲などを連想させる国民投票を持ち出すべき時期なのか疑問である。南北関係に対する国民的合意は、南北がまず和解と協力によって平和を定着させてからでも遅くないからだ。だからこそ「6.15南北共同声明」の中に予想外の統一方案が明記されたことに対して多くの人々が驚き、その真意が何なのか首をかしげたのだ。
しかも北側は最近になって連邦制統一方案を公然と主張している。北側の祖国平和統一委員会は6日、「金日成(キム・イルソン)主席が91年の新年のあいさつで連邦制統一方案を段階的に完成させる方案を宣言した」とし、「その方案がつまり低い形態の連邦制案である」と主張した。労動新聞も最近同様の内容を掲載している。これらの連邦制の主張は、いかに北朝鮮の内部用だとしても金大統領が語った「北朝鮮の連邦制断念論」と対立するのは事実だ。
このため統一問題を巡る不信や不安感が韓国社会に広がりつつあるのだ。ついにはハンナラ党の一部からは「連邦制統一方案に対する国民投票ではないのか」という声も出てきている。 従ってこのような不信や不安感を解消するためには、金大統領が考えている国民投票がどんな性格のものなのかを、具体的に、明確に説明する必要があると思う。
そうでなくても、労動党創建55周年の行事への出席決定の過程などを見てもわかるように、政府は北側の思い通りに引っ張られているだけだという批判が少なくない。金大統領の国民投票発言に特に視線が集中する理由も、統一問題まで同じように引っ張られる形になってはいけないという心配があるからだ。